ファッション専門学校「エスモードジャポン 大阪校」(大阪市西区北堀江1、TEL 06-6539-5555)のアートスペース「ギャラリーエフェメール」で現在、ファイバーアーティストの小野山和代さんによる「作品集出版記念-光りか-展」が開催されている。
世界最古のモード校「エスモード」と中之島のギャラリー「番画廊」(北区)が昨年11月、「ファッションとアートの融合」を目指し、同大阪校の1階ロビースペースに開設した同ギャラリー。2年間の期間限定で、番画廊にゆかりの深いアーティストを1年に10人(計20人)、個展形式で紹介するもの。第3弾となる同展は、小野山さんの作品集「しみ しわ たるみ」(武田ランダムハウスジャパン)が4月1日に発売されたことを記念して行うもの。
1951(昭和26)年徳島県生まれの小野山さんは、1974(昭和49)年に大阪芸術大学工芸学科染織コースを卒業した後、国内外の企画展を中心に作品を発表する傍ら、1997年から同大学の助教授、2007年から教授として学生の指導にあたっている。1988(昭和63)年「工芸都市高岡’88クラフト展」でグランプリを獲得したほか、2006年の「第4届国際繊維芸術双年展」(中国・蘇州)で優秀賞を受賞するなど受賞歴も多数。
小野山さんが20年ほど前から取り組んでいるというファイバーワークは、染織工芸の一つで化学繊維を使ったもの。「『布にひそむ表情を引き出したい』と、織布の縦と横の繊維を引っぱる手法でできた、しわやたるみを生かした作品作りを続けていくうち、布のさらなる可能性を求めて化学繊維に行き着いた」という。最初の10年間は「地面」をテーマに素材も色も「重たい」作品が続いたが、2000年からは180度方向転換し、軽い素材と色(主に白と黄色)を使った「光」がテーマの作品に。
同展では、「光りか(=光り輝くさま)」をテーマにした2000年から2001年の作品を、同校2009年の卒業制作コレクションと一緒に展示。光りを通す半透明な小野山さんの作品から、卒業コレクションを着たマネキンが優しく透けて見え、同ギャラリーが目指す「ファッションとアートの融合」を実現した展示内容になっている。
同校広報担当の加藤暢子さんは「化学繊維はファッション素材として講師陣も注目しており、こうして目の前で素材の面白さを学べることは学生にとっても良い刺激になる」と話す。「4月はイベントの多い時期。繊細ながら一辺が3メートル近くもある小野山さんの作品のおかげで、ロビー全体が一気に華やいだ」とも。
営業時間は10時~19時。日曜・祝日定休。入場無料。4月24日まで。