なんばの屋上を菜園に-「おもしろ農業」が提案する「農的」生活

「おもしろ農業」代表の山村勝平さん

「おもしろ農業」代表の山村勝平さん

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 湊町のマルイト難波ビル東側の「A.I.R. 1963ビルディング」(大阪市浪速区元町1)の屋上に昨年9月「菜園」が登場し、農業ライフスタイル雑誌に登場するなど話題となっている。主催する「おもしろ農業」(大阪市西区南堀江1、TEL 06-6532-1550)代表の山村勝平さんに話をうかがった。

空豆やキャベツ、タマネギ、からし菜などさまざまな野菜を栽培する

 同菜園は、「緑の少ない大阪で生活することにしんどさを感じていた」という奈良県の農家出身の山村さんが、「何か自分にできることを」と考え、始めたもの。屋上を選んだ理由については「都市のデッドスペースを有効活用できる1つの方法だと思った。また、ヒートアイランド現象を緩和するなど、都市ビルの環境を改善することにもつながる」と話す。

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 1区画(1平方メートル)を月3,000円で市民に貸し出し、現在10組が栽培に取り組んでいる。種のまき方などの指導や日々の管理は同社が行い、各菜園の状況はブログやメールで随時連絡する。利用者は8時から24時まで好きなときに出入りすることができる。「いきなり本格的に農業を始めるとなると難しい。屋上で気軽に菜園作りに取り組める機会を提供することで、身近に農業を感じられる『農的』生活を推奨していきたい」と山村さん。

 大手広告代理店を早期退職し、農業に興味を持っている男性や、近所のマンションに住む主婦、たこ焼き屋開業を目標に自家製の小麦を育てる若者など、利用者は世代も目的もさまざま。「菜園という共通の興味を通じ利用者間のつながりが生まれ、新しくビジネスを始める人も出てきた」(山村さん)。3つある共用菜園に種まきをしたり、屋上の空きスペースを使ったもちつき大会を開催したりと、積極的に「菜園利用者のコミュニティ作り」に努めている。

 山村さん自身も、利用者の1人である心理カウンセラーに出会い、一緒に「農業で人を元気にしよう」と「半農半心理カウンセリング」事業を始めた。「土を掘ることは、自分を深く掘り下げることにつながる」と提案する山村さんは、「メンタル面での農業の効果を心理学的に分析し、『農業セラピー』という1つの分野を確立させたい」と意欲をみせる。「今後はビルだけではなく、マンションや店舗の屋上などにも菜園を広げていきたい。自分たちの活動を通して、大阪の空気、社会、人の心をきれいにしていけたら」とも。