千日前のギャラリー「Galaxy Gallery(ギャラクシー・ギャラリー)」(大阪市中央区千日前2、TEL 06-6585-7285)で現在、独特の極彩色パターンで「異次元空間」を生み出すアーティスト・Koutaro Ooyama a.k.a. MONさんの個展「ANCHOR POINT」が開かれている。
極彩色に彩られた壁とLED照明が織りなす「近未来」花見スポット
YABUGARASHI名義でDJやトラック制作も手がけるMONさんは、1979(昭和54)年奈良県生まれ。京都市立芸術大学美術学部版画専攻卒業。2001年にBAKIBAKIさんとライブペインティングデュオ「DOOPEL」を結成したほか、2009年には「自身の音楽活動を絵画表現をリンクさせ発表する窓口」として「VVV」レーベルを設立するなど、多岐にわたって活躍する。
「グラフィティ」「ヒップホップ」から影響を受けたというMONさん。「そこから一歩進んで、日本人、アジア人のアーティストとして何ができるのか。自分の原点を探る過程で、紋様や折り紙など日本の文化をベースにした現在の作風に行き着いた」と話す。色と色が複雑に重なった独自の「極彩色ペインティング」は、これまでにNIKE本社(米ポートランド)をはじめ、万博のパビリオン、病院、ショップなど国内外の多数の壁を彩ってきた。
MONさんは「違う分野の人と一緒に制作すると、いつも新しい道が開ける」として積極的にコラボレーションも展開。そのMONさんの壁画に「とんでもない効果」がもたらされたのは、同ギャラリーで初の個展を開催した2009年のこと。「ライティングアーティスト・YAMACHANGさんとのコラボでライブペインティングを披露したとき、実験的にLED照明を壁画に当ててみたら、色は変化し影が生まれ、目の前に『行ったことない異次元空間』が出現した」(ギャラリーを運営する「Cosmic Lab」のGATHCIOさん)
同展では3つの展示空間を備えるギャラリーの特徴を生かし、3つの異なる世界観を表現。1つ目の空間では、東京で昨年開催した個展「NEXTEFX」から壁画の一部を抜き取った作品やペインティングを施した板とガラスを組み合わせた新作など、小型や中型の極彩色作品を展示。MONさんの制作する過程を見ることのできる アトリエコーナーも設ける。2つ目は、極彩色ペインティングと音、映像を組み合わせたインタラクティブ空間。3つ目の空間には、段ボールの展開図でかたどった桜の木と壁に極彩色を施し、そこにLED照明を当てた「近未来」花見スポットが広がる。「ゴロンと寝転んで作品を近くで楽しんでもらえたら」というMONさんたっての希望で、ギャラリーに併設するカフェバーからドリンクを持ち込みことも可能。
「みんなが(東日本震災で)落ち込んでいる今、内から温まるような個展にしたかった。『絵描きが何をできるか』と落ち込んだ時期もあったが、色や造形、光の持つエネルギーが人の心に良い影響をもたらしてくれると信じている」とMONさん。
開催時間は16時~23時。水曜定休。入場無料。今月23日まで。最終日にはクロージングパーティーを開催。18時ごろからはMONさんのライブペインティングも予定する。参加無料。