企画展「没後100年 富岡鉄斎『贈君百扇』 -君に百扇を贈る-」が現在、高島屋東別館3階「高島屋資料館」(大阪市浪速区日本橋3)で開催されている。
富岡鉄斎は京都出身で、学問と画業を両立した「文人画家」。1924年(大正13年)に89歳で亡くなってから今年で100年がたつ節目に開催する同展は、鉄斎が久邇宮(くにのみや)家の家令を務めた角田敬三郎に贈った扇子100本を展示する。
学芸員の高井多佳子さんによると、学者であることに誇りを持ち、展覧会や画壇から一線を置いていた鉄斎だが、1909年(明治42年)に高島屋が開催した画家100人の新作画が集まる「現代名家百幅画会」へ出品し、一躍有名になる。高井さんは「高島屋と交流が深かったことから、晩年の個展は高島屋開催が多かった。結果的に『高島屋の鉄斎』として全国的な知名度を得た」と話す。
扇子は、人々が五山の送り火の夜に盆踊りをする様子を描く「盆踊図」、戦時中の情景「日清交戦図並詩」、枯木を描いた「枯木寒厳図」、風が花を散らして煙が舞う様子を描く「落花胡蝶図」など。このほか、ネズミよけの猫「猫図」、友人の西郷隆盛が相撲を取っている「西郷隆盛角觝図」、鉄斎が70歳の誕生日を迎えたときを描いた「寿老人図」、人力車で移動中に負傷した場面を切り取った「不倒翁図」など行事や歴史、自然のほか、日常の出来事がテーマの扇子もそろう。
高井さんは「旅を通して多くの地を訪れた鉄斎だからこそ描ける扇子が並ぶ。何度でも訪れて、解説を読みながら新たな発見をしてほしい」と話す。
8月19日まで。
同資料館の開館時間は10時~17時。火曜・水曜休館。