南堀江の「dddギャラリー」(大阪市西区南堀江1、TEL 06-6110-4635)で現在、東京ディレクターズクラブが主催するタイポグラフィの国際競技会「東京TDC賞2010」の受賞作、優秀作品など約100作品を展示する「TDC展 2010」が開催されている。
「TDC RGB賞」を受賞した、アートユニット「エキソニモ」のTシャツデザインプロジェクト(関連画像)
「文字または言葉の視覚表現の追求」を目的に1987年に設立された東京タイプディレクターズクラブ(Tokyo TDC)。「東京TDC賞」は、同クラブが1991年から開始した国際的なタイポグラフィの競技会、「タイプデザイン」をはじめ、「マーク&ロゴタイプ」や「ポスター」「TDC RGB部門(ディスプレイ/モニター)」など10カテゴリーで幅広く作品を公募する。「グランプリ」「TDC賞」などの受賞作品を審査するのは、アートディレクターの青木克憲さん、佐藤可士和さん、服部一成さんなどそうそうたる顔触れが名を連ねる選考委員。受賞作品や入選作品などを紹介する展覧会「TDC展」はこれまで、国内だけでなく韓国やイタリア、オーストラリアなどでも開催している。
今年20回目を迎えた「東京TDC賞 2010」では、国内外から寄せられた3,180作品の中から、10作品の受賞作品が誕生した。グランプリは、イギリスのデザイナー集団「Why Not Associates(ホワイ・ノット・アソシエイツ)」が制作したテレビ番組の告知映像が受賞。イスラエル・ガザ地区の戦闘の映像を背景に、キャスターの話した言葉が文字になって画面に現れては「検閲」され消されていく様子は、報道管制の敷かれた同地区の現実を映像で表現し、「見られる映像ではなく、見られない映像にこそ関心を持つべきだと人々に訴えかける」作品。また、昨年も同賞を受賞したアートディレクターの浅葉克己さんは、楽譜にタイポグラフィカルな図形で音を表現した「図形楽譜」で特別賞を受賞、TDC賞を受賞したスイスのニクラウス・トロックスラーさんのポスターは、鉛筆で描いた線でサックスプレイヤー・チャールズ・ゲイルさんの音楽を「ビジュアルで」表現したもの。
同展では、これらの受賞作品のほか、幾重にも重ねた紙を削って平仮名を浮かび上がらせた作品や、クリップで宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」をつづった作品など、実験的なノミネート作品や、優秀作品なども展示する。同ギャラリーの担当者は、「メモ片手に訪れ、熱心に作品を研究していく学生の姿も目立つ」と話す。
開館時間は11時~19時(土曜は18時まで)。日曜・月曜・祝日休館。入場無料。7月3日まで。