写真家のタナカ“rip”トモノリさんが北海道・ニセコで撮影した作品を展示する写真展「NIGHT RIDER」が現在、心斎橋のギャラリー「YOSHIAKI INOUE GALLERY」(大阪市中央区心斎橋筋1、TEL 06-6245-5378)で開催されている。
タナカさんが目指したい「モノクロで抽象的なスノーボード写真」
タナカさんは1974(昭和49)年東京生まれ。1996年からフリーランスのカメラマンとして活動する。「一年の半分ぐらいは、スケートボードやスノーボード、自転車を持って旅に出ている」というタナカさんは、スケーターたちの動きを捉えた躍動感あふれる写真、アーティストのドキュメンタリーやポートレート、街や自然の風景写真など、「さまざまな文化に飛び込み、それらを独自の観点で捉えて人々に伝えること」を得意とする。スケートボードブランドKROOKEDやFOURSTARの広告、NIKEの「JUST DO IT」キャンペーン、ANAの機内誌「翼の王国」に起用されるなど、国内外を舞台に活躍している。
「これまでに見たことないものを見せたい、見てみたい」とタナカさん。「撮られたことのないものは何か?といつも考えながら写真を撮っている。夜のスキー場であれば、ナイター用の照明が雪に当たって幻想的に見えるときがあったり…旅をしていると、『何なんだこの瞬間!』という感動の一瞬に出合うことがある。普通ならここは撮らないだろうという瞬間をあえて写真に残していきたい」と話す。
大阪での初個展となる同展は、夜のスキー場を滑るスノーボーダーたちを撮影したモノクロ写真集「NIGHT RIDER」(スーパーラボ、2010年8月発売)から13点をプリントして展示するもの。珍しいテーマを選択した理由について、タナカさんは「スノーボード写真といえば青い空と雪というイメージを壊したかった。それと、スノーボードの中でも一番『自由な』はずのフリーライディングなのに、真っ暗なスキー場でもくもくと練習する様子は、スノーボーダーの知られざる姿を表しているようで面白いと思った」と解説する。
「マットな印画紙にアーカイバル・ピグメント・プリント(顔料インクを使用する長期保存用のプリント技法)でプリントされた作品は、鉛筆で描いた絵画のような雰囲気を持っている。モノクロで写し出された夜のスキー場は、雪の結晶が星のように光を放っていたりと、どこか異次元的」と作品の魅力を語る同ギャラリー代表の井上佳昭さん。「日本人の特に若いアーティストを紹介して、一人でも多くファンを増やすことが画廊をしている私たちにとっての喜び。タナカさんも今後さらに活躍が期待される中堅として、積極的に紹介していきたい」と期待を寄せる。
営業時間は11時~19時。日曜・祝日定休。入場無料。今月26日まで。