大阪市で4月1月、民間出身の公募小中学校長が11人誕生した。ミナミでも浪速区の敷津小学校(大阪市浪速区敷津東3)に全国の女性小学校長としては最年少となる山口照美さんが就任した。
大阪市では昨年7月「大阪市立学校活性化条例」を制定、これに基づき昨年8月から9月にかけて市立小中学校の校長を募集した。応募者1290人中、民間出身者は928人で、そのうち、小学校長として9人、中学校長として2人が就任した。
地下鉄大国町駅近くにある敷津小学校には、元PR会社経営で教育ジャーナリストの山口照美さん(39)が校長として就任した。来年140周年を迎える同校は、各学年1クラスしかなく、児童全員で90人の小規模な小学校。
学習塾の校長経験がある山口さんは「経済格差を教育格差にしない」をモットーに、家庭教育の充実と、基礎学力の向上を訴える。「就任して半月で価値観は激変した。学校の本当の姿は、外に伝わっていない。子どもの『今』と向き合える、こんなエキサイティングな仕事はない」と山口さん。
民間校長を受け入れる側の糸井利則教頭は、「校長がやりたいことを実現するには、まずは現状を知ることが必要。担任教師がやりたいことが、クラスの子の課題と合っていなければ効果がないのと同じ」と、山口さんの情報収集をサポートする。
「民間校長だから見えることもある」と山口さん。「学校の先生は一人一人がマルチタスクで、何かあれば臨機応変に動く。朝礼での連絡事項の伝達の早さなど、民間が学ぶべき部分も多い」とする一方で、「小学校が抱える業務量の多さなど、変えるべきところは変える」と意気込む。