大阪・湊町に「A.I.R. 1963ビルディング」(大阪市浪速区元町1)がオープンし、ギャラリーなどが集まる新たな拠点として注目を集めている。
同ビルはもともと日通ビルとして1963(昭和38)年に建設され、日本通運湊町営業所として使われていた。老朽化のため営業所の機能を堺市に移し、ビルが解体されることになっていたが、博物館のプランニングなどを手がけるケイ・ファクトリー(浪速区)と商業ビルの空間開発を行う商空間(中央区)が中心となって、ビルを解体せずにギャラリーなどを集積した大阪初のアートコンプレックスとして活用する案を日本通運に提案し、実現した。
ビル名の「A.I.R.」は「アート・イン・レジデンス」から取ったもので、「若手アーティストを育てる場所を作りたい」という思いでスタートした。商空間が日本通運から一括で借り上げ、サブリースの形でテナントに提供する。賃料を1坪あたり1万円と格安に設定し、若手アーティストなどに門戸を開く。
4階建ての同ビルは、1階に美容室「An hue(アンフェ)」とカフェ「Hito-iki」が入居するほか、バーがオープンに向けて準備を行っている。3階には「CAS(キャズ)」と若手アーティスト4人のアトリエを兼ねた「room A.」のギャラリー、4階には音楽プロデュースを手がける「Art Yard」のスタジオなどが入居する。
2階には、30坪と10坪の空きスペースがあり、ケイ・ファクトリーの小森隆司さんは「クリエーターやデザイナーが集まる場にしていきたい」と話す。屋上にも未使用の空間があり、イベント会場としての活用や屋上緑化の案などを検討する。
小森さんは「CASを中心にして、各ギャラリーで一斉にアート系のイベントができれば」と話し、ビル全体での活性化に期待を寄せる。