大阪・ミナミの周防町通りの移動販売屋台が集まるスペース「COSMO POLITA(コスモポリタ)」(大阪市中央区心斎橋筋1、TEL 090-3710-9910)が、若手クリエーターらの作品発表の場として注目を集めている。
同店は昨年12月、移動販売屋台の自動車をビルの空き室に直接乗り入れる形でスタートした。現在も「アカマルカレー」や「MYU-GA」などの移動販売車が店内で営業を行う。口コミなどを通じて20代を中心とした若者が集まるようになった同店。若者の中から「イベントをしたい」「絵を飾ってほしい」などの声が上がり、絵だけでなく、手作りの靴や鞄を持ち込む若者も出始め、ものづくりを中心とした若手クリエーターが自然と集まるようになった。同店プロデューサーの西尾友里さんは、若手クリエーターについて「お金ではなく、自身の精神的な充実を求めて活動している人が多い」と分析する。現在も毎日2組程度が訪ねてくるという。
西尾さんは「この場に集まってきた現象を切り取って形にしていきたい」との思いから、阿部野橋のファッションビル「Hoop」(阿倍野区)関係者に相談したところ、クリエーターらが制作した商品を販売するショップ「コスモポリタ インショップ 阿倍野フープ店」(TEL 06-6626-2499)の出店が決まった。同店は6月20日、「Hoop」5階にオープン、万華鏡伝道師のほりいようこさんやハンドメード靴職人のkokochiさんら6人のクリエーターが参加する。西尾さんは、商品を置くクリエーターらに店頭に立って来店客と対面することを求めた。「買ってくれる人の顔を見るのが重要」(西尾さん)との考えからだ。
同ショップに作品を置く「キャトリエーター」のかとうまゆさんは、猫をモチーフにしたイラストを描くクリエーター。今年5月の大型連休中に西尾さんと出会った。心斎橋の店舗に友人とたまたま訪れた際に、西尾さんにあいさつしたのがきっかけだった。翌週には店内で作品の展示を始め、ライブペイントなどのイベントを経てショップの立ち上げにかかわった。ショップでは鞄に直接ボールペンで描いた作品を販売する。かとうさんは「クリエーター同士のつながりは大事。一人ひとりの力は小さいが、互いに励まし合いながら作品が作れる環境になれば」と話す。現在はテキスタイルデザインにも取り組み、「今後は着物のデザインも手がけたい」と抱負を語る。
西尾さんは「人とのつながりを大切にしながらこれまでやってきた。こうした取り組みを『面白い』と訪ねて来てくれる人たちを取り込みながら、コミュニティーの場として展開していきたい」と話す。
ショップの営業時間は11時~21時。