吉本新喜劇で史上初の女座長に就任した酒井藍さん主演の映画「よしもと新喜劇映画 女子高生探偵 あいちゃん」。昨年、沖縄と京都の映画祭で1回ずつ上映した際にはいずれも満席となったという。今回のインタビューでは、酒井藍さんに映画の見どころと、撮影のエピソードをお聞きした。
「心がきれいな子がほんまもんのべっぴんさんや」と亡き母に言われた主人公の藍。明るく優しい女子高生に育った一方で、過去のトラウマのせいで「顔のきれいな子は心が汚い」と思い込んでいる藍は、美少女たちが苦手。そんな中、探偵業を営む父親の手伝いで、爆破予告が届いたNMB48劇場を、自らでNMB48のメンバーとして潜入し、事件を解決するというストーリー。
2年前に「よしもと新喜劇映画 西遊記」に出演した時にも、「すごく嬉しい」という気持ちはありましたが、今回は初主演ということで、映画の題名にも「あいちゃん」と名前を入れていただいて、ポスターにもドーンと大きく載せてもらっていて、「すごく嬉しい」一方で、「大丈夫かな?」という不安もあります。でも全国の映画館にこのポスターが貼られるかと思うとすっごく嬉しいです。
「わぁ~ありがとうございます!」というよりも、「えっ!?私でいいんですか?」という不安の方が大きかった。そして、少し経ってから台本を渡されて、ストーリーを見た時に「え、踊るやん!」って驚いた。昔からアイドルが好きでしたが、まさか私が本物のアイドルの人たちと踊ることになるとは思っていなかったです。
1年ほど前に大阪のあちこちで5日間かけて撮影しました。吹田市、毎日放送の中、淀川の河川敷、NMB48劇場など、まるまる大阪で撮影しました。
この映画には吉本新喜劇の方がたくさん出られているんですが、一番初めのシーンで、お父ちゃん役の川畑兄さんと2人で商店街を歩くシーンがあります。実はそのシーン、ずっとカメラを止めずに、一直線で歩くんですけど、いろんな新喜劇のメンバーが出てくるんです。だからどんなメンバーが出てくるか楽しみにしていただきたいし、探していただきたいです。
その撮影は、ほとんど練習なしで撮りました。「あいちゃん、おはよう」「あいちゃん、おはよう」という(商店街の人たちから声を掛けてもらう)シーンだったんですけど、あまりにも自然やったからか、商店街のインド料理店の人までもが「ハロー」と言ってくれたんです。そういう台本にない面白さもあるので、のっけから楽しんでほしいです。
田畑(智子)さん、筧(利夫)さんという本当の女優さん、俳優さんも出演されているのですが、すごく気さくに接してくれました。でも芝居に入ると人が変わるというか、すごくゾクゾクしました。そしてNMB48のメンバーはすっごく可愛かったです。
監督さんは、あまりガチガチに決めずに撮られる方で、「セリフはあるけど、どんどん入れていって」と言ってくれる方だったので、私もガチガチにはならず、新喜劇っぽいリアクションも入れたりしました。また演技そのものは、横に川畑兄さんがいてくれるので、いつもの新喜劇と変わらない気持ちでできました。
夕陽のシーンの撮影があったんですが、「夕陽待ち」「電車待ち」という、新喜劇ではないことを経験しました。またテレビのロケ撮影などと違って、映画の撮影なので、カメラ目線をしてはいけないので、「あ、いまカメラで撮られてる」と(横目で感じながら)、すごく女優の気分になりました。
保育園の頃から「吉本新喜劇に入りたい」と思っていたんですが、中1の時にモーニング娘。が流行っていて、一瞬だけ「モー娘。」に入りたいと思ったことがありました。それでテレビ番組「ASAYAN」で後藤真希さんの次のオーディションを見ていて、加護亜依ちゃんが選ばれた。同じ奈良出身、AB型、名前も「あい」ということで、これだけかぶっていたらもう私は受からへんやん、もうアイドルはあきらめようと思ったんです。でも翌年のオーディションに受かったのが「高橋愛」さんだったんです。まだ「あい」いけたんやんと。もし私がモーニング娘。に入っていたら、全員うまいこと「あい」の漢字が違っていたんですけど(笑)、でもそこで踏ん切りがついて、私はやっぱり新喜劇に入りたいと思いました。
私はすっごくリズム感がないんです(笑)。ダンスがすごく苦手なんです。この映画で、芝居するよりも何よりも、ダンスシーンにずっとドキドキしていて。そのシーンの撮影が終わった瞬間、もう映画の撮影が終わったように思うぐらいでした。
どっちもやりたいけど、「アイドルは見るもんやな」とつくづく思ったし、私がセンターで踊ったらバランスが悪くなると思うんです。新喜劇は面白い見た目の人がいっぱいいるので、その中にまぎれることができるんですけど、NMB48のセンターってなったら、大人が黙っていないと思うんです(笑)
吉本新喜劇が好きな人、NMB48が好きな人、映画が好きな人、皆さんが楽しめる映画。どこを目的に見てもらっても楽しいし、どこから入ってきてくれても素直に楽しめる映画なので、ぜひ皆さんに見てほしい。
ダンスを踊っている私の太ももが、他のメンバーの胴回りぐらいあるので、それも見てほしいです(笑)