小説「ザ・ヴァイオリン―収容所のメロディー」を書いた女性医師の香川宜子さんの記者懇談会が18日、大阪・難波で行われた。
小説「ザ・ヴァイオリン―収容所のメロディー」と英訳本の「The Violin」
香川さんは徳島県在住の内科医師。1999年から雑誌で連載コラムを持ち、本業の合間に小説の執筆活動も行っていた。「娘の持っているヴァイオリンと、ドイツのアウシュビッツ音楽隊を扱ったドキュメンタリーを見て、次々と映像がひらめいて」(香川さん)書きはじめた「アヴェ・マリアと梵天の子供達」(新風舎刊)が人気を博し、四国放送でラジオ小説・ラジオドラマ化。
「ザ・ヴァイオリン―収容所のメロディー」と改題し英訳本を出版するほか、元文化庁長官の故河合隼雄さんや内閣官房長官の仙谷由人さんらの推薦を受け、ハリウッド関係者の興味をひくに至った。現在はオーシャン・パーク・ピクチャー社長でハリウッド・エグゼクティブ・プロデューサーのティム・ゴールドパークさんプロデュースのもと、映画化の企画が進行中だという。
同書は、ドイツの「アウシュビッツの音楽隊」や、第一次世界大戦時に日独間で友好的な関係が築かれた徳島県の板東俘虜収容所などの史実に着目し、一つのヴァイオリンの存在を通して平和を訴える作品。
米国でのビジネス進出や国際間交渉を手がけるインターパシフィック・ネットワーク・コーポレーション社長の中村壮一さんは「日本人が忘れていた日本の素晴らしい精神がこの作品で表現されている。日本文化を世界に発信する一つのきっかけとして、この作品の映画化を推し進めていきたい」と話す。
メディアプロデューサーのケネス・ペクターさんは「日本のコンテンツはなかなか輸出されない。世界に通用するコンテンツが必要だと考えているところにこの作品が現れた。映画に向いているストーリーでもあるし、ハリウッドも日本人をターゲットに含んだ映画企画に興味を持ち始めている」と話す。プレスを担当するラプレ(大阪市中央区)の上谷信幸さんは「アマチュアの小説家でもハリウッド映画化の可能性が出てきたというのはとても夢のある話。本を書いている人にも夢を与えられると思う」と話す。
同書は今後、2013年以降のハリウッド映画化実現に向けて、様々なプロジェクトをスタートさせていく。