壁一面にさまざまな表情の「バナナピープル」-心斎橋で陶芸家個展

心斎橋に「バナナピープル」

心斎橋に「バナナピープル」

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 心斎橋のギャラリー「Yoshiaki Inoue Gallery」(大阪市中央区心斎橋筋1、TEL 06-6245-5347)で現在、陶芸家・田島弘庸さんの個展「オーガニックバナナ」が開催されている。

田島さんの「バイク好きな一面」が感じられる作品も

 会場の壁一面を飾るのは、田島さんが昨年秋から約1年かけて制作した新作の「バナナピープル」約30点。「『揺りかごから墓場まで』-いろんな状態の人々を再現した」という言葉通り、サラリーマンや漁師、水着を着た人、子どもなどさまざまな姿の「バナナピープル」がバナナの皮から顔を出している。年齢や服装は異なるが、いずれの作品も田島さん本人の顔をかたどったもの。「鏡に映した自分自身の外面、内面そして自分を取り込む環境を吐き出す」ため、田島さんはこのセルフポートレート作品を制作し続けている。

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 田島さんは1969(昭和44)年広島に生まれ大阪で育った。1992年にアメリカのメリーランド美術大学に留学し、1993年に大阪芸術大学・陶芸学科を卒業。1995年にニューヨーク州立アルフレッド大学院を卒業した後も、アメリカを拠点に制作活動を続ける。アメリカと日本をはじめ、ヨーロッパ、中国、ニュージーラーンドなど世界各地で展覧会を開催。1999年よりアリゾナ州のピーマコミュニティーカレッジ・陶芸学科の教授も務める。

 「陶芸一筋の田島さんだからできる細やかな描写」(同ギャラリー・代表の井上佳昭さん)が特徴で、これまで「顔の見えない情報社会」や互いに無関心な家族が食卓を囲んだ「最後の晩さん」など、「現代社会のシリアスな問題」を題材にしてきた田島さん。同展のテーマ「オーガニックバナナ」も、一時帰国した際、オーガニック食品が流行していたのを目にしたのをきっかけに、「流行しては消えていく社会」を題材に扱ったもの。ただし、「最近の作品には笑顔が見られるようになった」(井上さん)という言葉の通り、作品の表情はあくまでも明るい。

 考えさせられるテーマを「くすっと笑える」こっけいな形で表現した作品は、「一粒で何度もおいしい」とその魅力を語る井上さん。同展では、「ART OSAKA 2008」の会場「堂島ホテル」(北区堂島浜2)に出展した阪神タイガースのユニホームを着た女性など過去の作品も展示する。

 開廊時間は11時~19時。観覧無料。今月31日まで。

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