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アメリカ村でトークイベント-「阪神大震災とゼロ年代の思想」テーマに

トークライブの様子

トークライブの様子

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 大阪・アメリカ村の書店「スタンダードブックストア」(大阪市中央区西心斎橋2、TEL 06-6484-2239)地下1階のカフェスペースで4月9日、言論誌「思想地図β Vol.1」の発刊を記念しトークライブが行われた。

批評家の東浩紀さん

 当日は、「思想地図β」を発行するコンテクチュアズ(東京都品川区)代表で批評家の東浩紀さんと、同社クリエイティブディレクターの浅子佳英さん、関西学院大学准教授で社会学者の鈴木謙介さん、文芸批評家の福嶋亮大さんが参加し、「阪神大震災とゼロ年代の思想」をテーマにトークが繰り広げられた。

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 トークライブ前のインタビューで、東さんは「思想や言論はここ10年で社会学、メディア論を巻き込み広がったが、東京に集中しているのは事実。東京以外の所での商品価値を探ろうと思っている」とイベントの狙いを話したほか、東日本大震災について、「言論は前に進むのではなく、失ったものをどう引き受けるかという所から出発する。95年の阪神大震災を乗り越えてきた関西の話を聞ければ」と話した。

 トークライブの冒頭で、東さんは「ゼロ年代の思想は、世の中から『遊び』だと思われ、趣味としてしか生き残れなかったのが、戦後日本の帰結としてあった。だが震災後、言葉が求められるようになった。まず『復興の希望』としての言葉が求められているが、文学は単純に『日本頑張ろう』ではなく、『喪失』をどう引き受けるかを考えなければいけない」とコメント。

 「ゼロ年代の思想」に話が及ぶと、鈴木さんは「合理性の外の部分は本来、宗教が担当していたが、オウム事件以降、宗教を思想界から追い出しきてた。最近、若い世代ではまじないや死後の世界を信じている人が増えている。ご遺体が見つからないままの人や、生死がわからないままの人について、きちんと弔うことができないまま復興していかなければならない」と震災の非合理についてコメント。東さんも「戦後の日本は、戦争をきちんと弔わないまま、死者を覚えている人が死ぬという形で解決してきた。喪失について何も考えてこなかった」と指摘。震災で失ったものをどう引き受けて行くのかということについて議論が交わされた。

 今後の復興について、東さんは「震災前から日本は少子化と財政問題があり、震災後さらに加速した。若い人は転校するなど被災地から出て行く人も多く、誰が復興を担うのかが課題。少子高齢化の社会を変えるしかなく、外国人労働者を受け入れるしかない」と指摘。小松左京さんの小説「日本沈没」が示唆を与えてくれるとの紹介も。

 「思想地図β」は7月に「1.5号(震災特別号)」を発行する予定。

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