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南堀江で「写真の可能性」探る企画展-気鋭作家4人が出展

会場には、4人4様の写真の表現方法が並ぶ

会場には、4人4様の写真の表現方法が並ぶ

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 南堀江のギャラリー「TEZUKAYAMA GALLERY(テヅカヤマ・ギャラリー)」(大阪市西区南堀江1、TEL 06-6534-3993)で現在、企画展「Shashin?(シャシン)」が開催されている。

来田猛さんの作品「sliced scenery」

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 「私自身、もともと写真が好きでいつか企画展を開催したいという思いがあった。スナップ写真よりも、オリジナリティを持って制作している作家を扱いたかった」と同ギャラリーオーナーの松尾良一さん。4人の新進気鋭作家を紹介する。

 100号サイズの作品2点を展示するのは、「コンプレックス」をテーマに作品を制作する栗棟美里(くりむね・みさと)さん。「目を背けたいが、見られることを意識している」、人がコンプレックスに対して抱くそうした思いを表現するため、被写体のコンプレックスに焦点を当てた(モノクロ)写真の上からファンデーションやボディーパウダー、パステルで「化粧」を施している。「美と醜は表裏一体」と語る栗棟さん。「作品を通じて人が心に抱える傷を消化することができたら」と願いを込める。

 「ものが崩れかける瞬間に惹かれる」という来田猛(ころだ・たける)さんは、ストライプ状の線がプリントされた用紙を使って「崩れかける瞬間」を表現した作品4点を展示。米航空宇宙局(NASA)がホームページで公開している宇宙の画像を引き延ばし、A4やL版用紙に1枚ずつプリントしたものを積み重ねることで、側面に画像を浮かび上がらせている。「何でもないように見える紙に実は何か情報(1ピクセルの画像)が入っている。情報ってそれだけ儚(はかな)いもの。でもそうしたわずかな情報が重なって画像になっていく。存在していないけど存在している、という相反するイメージの共存を楽しんでもらえたら」と来田さん。

 「Existence(存在)」をテーマにした作品の制作やパフォーマンスを行う藤井まり子さんの作品は、カメラと被写体の間にディフュージョンシート(半透明のシート)を挟んで撮影したもの。被写体同士の距離を離して「人と人との距離」に焦点を当てた作品4点と、鑑賞者の姿をぼんやりと反射する鏡の作品を展示する。

 もともと油絵を専攻していた田口健太さんは、印画紙の上に直接絵を描いて感光させる技法で作品を制作している。同展では、いしいしんじさんの小説「みずうみ」(河出書房新社)に着想を得て描いたという「溺れる森」と「森」の2点、ポートレートが中心の絵画的な新作9点を展示する。「見たことのない新しい世界を見せてくれるものがアートだと思う。現実の世界をそのまま写し出す写真とイメージの世界を描いた絵画を組み合わせることで、現実と非現実の狭間にあるような『奇妙なリアリティ』をつくりだしていきたい」と話す。

 松尾さんは、「写真の手法を使ってそれぞれの表現を追求する4人の作家たちは、アートをカテゴリー分けすることに本当に意味があるのか、という疑問を私たちに投げかけてくれる。今回の企画展が写真の表現とは何か?アートとは何か?ということを見つめ直すきっかけになれば」と期待を寄せる。

 開催時間は11時~19時。日曜・祝日定休。今月23日まで。

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