ホテル日航大阪(大阪市中央区西心斎橋1)で8月4日、チェ・ゲバラの娘、アレイダ・ゲバラさんが講演会「震災、原発…日本人に今伝えたいこと」を開き、150人余りが耳を傾けた。
キューバ関連サイト「Club Cuba」を運営するSeedC(北区)が主催した同講演会。キューバ革命の指導者の一人として知られるチェ・ゲバラの娘で、キューバ親善大使、小児科の医師でもあるアレイダ・ゲバラさんが、東日本大震災の発生を受け、キューバ共和国大使館に「何かできないか」と持ちかけて来日が決まった。
今回の来日でアレイダさんは東京、秋田、名古屋、京都でも公演を行ったほか、東日本大震災の被災地も訪問。講演会では、チェ・ゲバラが17歳で哲学の本を書き始めたこと、古典に対する敬意や、他者を尊敬する気持ちを大切にしていたことなどを紹介したほか、アレイダさんが南相馬市と石巻市を訪問して感じたことなどについて話した。
被災地についてアレイダさんは「自然がもたらした被害は、言葉に尽くせないものがある。お金は助けになるが、もっと大切なのは人間的な温かみ。被災者のためにもっと連帯する必要がある」と、チェ・ゲバラの「連帯」の思想と関連して話したほか、医師として「被災地には放射能汚染の被害がある。キューバはチェルノブイリの被災者を助けた経験があり、今回もいつでも支援することができる」と話した。
質疑応答では、会場に詰め掛けた人から積極的な質問が相次いだ。中でも東日本大震災による放射能の問題についての質問が多く、アレイダさんは「南相馬で女の子が犬を連れて駆け回っている様子を見たが、土壌が放射能で汚染されているので今の状態は危険だと思う」「放射能の影響は、20~30年後ではなくもっと早く出るのでは。日本には広島の原爆の経験があるので、自分よりも日本の人のほうが詳しいと思う」などと答えた。
奈良から参加した医学生の男性に「医療を行ううえで大切にしていること」について質問されたアレイダさんは「健康はビジネスの対象であってはならない。自分は最大限の教育を受けたと思うが、お金もうけのためではなく、人の役に立つ医者として教育されたと思っている。病気を治療するより予防が重要だと思う。たくさんの進んだ技術や医薬品もあるが、大切なのは患者の痛みに寄り添うこと」と答えた。