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見慣れた日用品が美しいオブジェに-なんばで新鋭作家の新作展

つけまつげにピンクの糸を編み込んだ作品「つけまつげ」

つけまつげにピンクの糸を編み込んだ作品「つけまつげ」

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 京都在住の新進気鋭作家、森末由美子さんの新作展「滝の流れにだけすむ魚」が現在、なんば・元町の「ギャラリーほそかわ」(大阪市浪速区元町1、TEL 06-6633-0116)で行われている。

約50本のくしの目をつなぎ合わせた作品「櫛」

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 見る者があっと驚く技法とアイデアで、既製品を美しいオブジェに変化させることで知られる森末さん。同展では、茶せん、ふるい、コースター、くしなど、見慣れた日用品を「削る」「隙間を埋める」「刺しゅうを施す」という3つの方法で変化させた。

 高く丸みを帯びた6つの白い塔は、厚さ1ミリのコースターを400枚以上慎重に積み上げて軽くのり付けし、グラインダーとやすりで削りを入れたもの。奥から赤や青の挿絵を浮かび上がらせ、「モスク(=イスラム教の礼拝堂)」のように並べて展示する。そのほか、茶せんにはボタンの模様を、つけまつげにはピンクの糸を編み込み、それぞれが持つ特有の隙間を埋めたり、ステンレス製のふるいに同系色の糸でクロスステッチを施したりと、元となる日用品のイメージをきちんと残しながらも、完成されたかたちを持つ工芸品のような美しいオブジェに変容した新作10点を紹介。

 ギャラリーオーナーの細川佳洋子さんは同展について「最初に展示することが決まったのは、茶せんとつけまつげの作品。隙間のところに面を作りたいという話だった。この『隙間を埋める』というのが、今回の一つのテーマになっている」と解説する。森末さんは「普段から、とんでもないところに草やキノコが生えていたり…といった周りのちょっとした変化を発見するふとした瞬間が好き」だという。

 森末さんは1982(昭和57)年京都生まれ。2005年に京都市立芸術大学卒業、2008年に同大学院版画学科修了。版画学科では当初、既製品の上にシルクスクリーンや転写を施していたが、徐々に既製品そのものの形やイメージを利用した立体作品を制作するようになっていったという。これまで発表した作品に、風化した石のように丸くなった本、ブラシ部分が髪の毛のように伸びた歯ブラシ、針金1本でつづった明朝体文字など。2009年、京都市立芸術大学制作展「大学院市長賞」受賞。

 開催時間は12時~18時。日曜・木曜定休。入場無料。11月9日まで。

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