若手作家・柴田精一さんの新作展「ねじれ世界をねじあける」が現在、なんばの「ギャラリーほそかわ」(大阪市浪速区元町1、TEL 06-6633-0116)で開催されている。
展示するのは、薄い木板を彫り色を塗ったレリーフ作品9点。絵画のように見えながらも彫り跡など立体的な質感を伴う作風が特徴。カップルや女性、鳥や公園など、身近にあるものを題材にし、立体と平面のねじれ、直角に折られた不思議な感覚などを表現した。
特にカップルをモチーフにしたレリーフは、大きく開いた口同士をつなぎ、不穏な空気や気味の悪さを感じさせる。男女別々に制作されたように見えるが、実際は1枚の木の板を、彫り方を変えて質感の違いを出したといい、横から見ると1枚の板なのが分かる。別の女性の顔の作品では、モデルを特定せず「どこにでもいそうだけど誰だかわからない」顔を描いている。
ギャラリーオーナーの細川佳洋子さんは柴田さんとの出会いについて、「2年前神戸芸術センターで作品を見たときに共感を覚えた」と振り返る。今回の作品については「自分の見ているものが本当は違うものなんじゃないか、という不安、本当はすごく歪(ゆが)んでねじれているのでは、という思いを表している」と話す。「遠くからは紙のように見えるのに実際は彫刻で彫られた立体感があるところなどもぜひ鑑賞してほしい」とも。
柴田さんは1984年生まれ、兵庫県在住。京都精華大学で絵画を、京都芸術大学大学院で彫刻を学んだ。もともと平面と立体に対する境界に興味があったといい、神戸芸術センターでの展示の際などは、紙を使用した「紋切り重ね」という手法で、平面でありながら立体を表現した。
開催時間は12時~18時。日曜定休。入場無料。今月26日まで。