高島屋大阪店(大阪市中央区難波5)7階催会場で1月21日、全国各地で職人の手によって作られ、日常の暮らしの中で使われている器や道具類などを展示・販売する「民藝展」が始まった。
「無心に作られた生活の品の中にこそ、芸術に劣らぬ美がある」と考えた美術評論家の柳宗悦(むねよし)さんが昭和初期、日本各地を巡り見いだした織物、家具、焼き物などを「民藝」と名付け、世に広める活動(民藝運動)を行った。同展では、柳さんが見いだし、現代に受け継がれている民藝を展示・販売するとともに、柳さんの民藝運動に賛同したデザイナーの芹沢銈介(けいすけ)さんがデザインした民藝、鳥取の民藝運動の立役者である吉田璋也(しょうや)さんがプロデュースした「鳥取新民藝」、高島屋が現代の視点でセレクトした民藝を受け継ぐ手作り品などを一堂に集め販売する。
「現存する民藝」のコーナーでは、岡山県倉敷市のじゅうたん「倉敷手織緞通(だんつう)」、長野県松本市の「松本民藝家具」、愛知県瀬戸市の陶器「瀬戸本業窯」、岩手県盛岡市の「南部鉄器」など、柳さんが見いだし今なお作り続けられている伝統的な品を集めた。鳥取新民藝のコーナーでは、吉田さんがプロデュースした昭和初期の皿の現物を展示するほか、その色合いをモチーフにした現代の陶器などを販売する。
関連企画として同日、1階正面入り口前の「グッドショックプレイス」、6階中央エスカレーター横特設コーナー、6階和洋食器売り場などで、岡山県倉敷市の民藝を販売する企画「倉敷 日々の暮らし展」が始まった。倉敷出身の実業家・大原孫三郎さんは柳さんの民藝運動に賛同し、東京のほか倉敷にも「民藝館」を設立、現在も倉敷は「民藝の街」としてさまざまな物を作り出している。マスキングテープブームの火付け役と言われる「カモ井加工紙」のマスキングテープのほか、倉敷ガラス、倉敷デニム、食品、雑貨などを販売する。
「民藝展」は26日まで。「倉敷 日々の暮らし展」は27日まで。営業時間は10時~20時。「民藝展」のみ最終日は18時まで。