南海電鉄(大阪市浪速区敷津東2)は10月24日、スイスのモントルー・オーベルラン・ベルノワ鉄道(以下MOB)と「姉妹鉄道協定」を締結した。
MOBはスイスの三大観光地の一つ、レマン湖畔のモントルーを拠点とする鉄道事業会社。両社は、傾斜が急な山岳間を走る点、沿線にMOBはレマン湖北岸のブドウ畑「ラヴォー地区」、南海電鉄は「高野山」と世界文化遺産がある点で共通している。高野山は外国人宿泊者数が7万人を超えており、その約7割が欧州からの来訪者だという。同協定で旅客誘致強化を図り、双方の沿線が国際観光地として発展し地域活性化に貢献することを目的とする。南海電鉄が海外の会社と提携するのは台湾の鉄道会社「桃園メトロ」に続く2社目となる。
24日に行われた締結式では、遠北(あちきた)光彦南海電鉄社長やジョージ・オベルソンMOB社長、ジャン・フランソワ・パロ駐日スイス特命全権大使、中島寛和和歌山県商工観光労働部観光局長らが登場。MOBからは鉄道模型と社旗が寄贈され、南海電鉄は記念ヘッドマークを贈呈した。
南海電鉄は記念ヘッドマークやラッピングで装飾した車両を運行するほか、極楽橋駅、高野山駅で同協定を記念したフラッグや鉄道模型などを展示する。難波駅では高野山とスイスを楽しむ休日を演出したポスターを各所で展示する。今後は共通のチケットやスタンプラリーなど、さまざまなイベントを開催する予定だという。
遠北社長は「芸術や文化・観光など広い分野でお互いの関係性を深めていけたら」と話し、ジョージ社長は「スイスと日本に共通するのはおもてなしの心。立派な鉄道会社と提携できてうれしい」と喜ぶ様子を見せた。