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松竹試写室で自分史ビデオ 家族三世代の絆、より深く

自分史ビデオの上映に集まったご家族

自分史ビデオの上映に集まったご家族

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 夫婦の人生を映像で振り返る「自分史ビデオ」を映画の試写室で鑑賞できるサービスの初めての利用者が9月28日、松竹関西支社の試写室(大阪市中央区難波2)で家族と共に人生を振り返った。

上映後に感想を述べる渡辺夫妻と子守さん

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 会社案内や自分史ビデオを制作するアンテリジャン(大阪市北区)と松竹(東京都中央区)が提携して実現したサービスで、同社に自分史ビデオの制作を依頼した利用者は同試写室で完成したばかりの映像を鑑賞できる。

 アンテリジャンの子守康範社長は1985(昭和60)年、毎日放送に入社。アナウンサーを務める傍ら、自身でカメラを持って湾岸戦争などを取材し、ジャーナリストとしても活動した。1998(平成10)年、母方の祖父が倒れたときに「祖父の戦争体験や経営者としての話を記録に残しておきたい」と思い、頑固な祖父には事情を隠してインタビューの様子を撮影。祖父が亡くなる3週間前に完成した映像に、家族は皆涙を流したという。

 「自分の取材で得た経験は無駄じゃなかった」とやりがいを感じた子守さんは1999(平成11)年、毎日放送を退社して同社を起業。これまでに約100組の自分史ビデオを制作した。今年6月、松竹が一般向けに試写室を貸し出すサービスを始めたのを知り、上映が実現した。

 同サービスの初利用者は兵庫県川西市在住の渡辺晃志さん、淳子さん夫妻。長男の壮司さんは「昨年、両親が大病を患った。回復して良かったが、またいつ病になるか分からない。元気になった今しか撮れないと思って依頼した」と話した。

 撮影から完成まで約3カ月。子守さんは「完成したと思ったら、ご夫妻の新たな写真が見つかって完成時期が伸びる。当時を思い返すご夫妻の幸せそうな表情が見られるのもこの仕事の醍醐味(だいごみ)」と話す。上映に当たり、渡辺夫妻とその長男、長女、次女、2人の孫の総勢7人が駆け付けた。会場では同夫妻の生い立ちから現在までが、約25分にわたって上映され、上映中にはすすり泣く家族の姿があった。

 上映後、晃志さんは「この日の映像を思い起こしながら残りの人生を歩んでいきたい。仕事関係の写真もたくさん見つかったから、今度は自分のやってきた仕事を映像化してみたい」とうれしそうに話した。

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