道頓堀の大阪松竹座(大阪市中央区道頓堀1)で7月3日に始まる「七月大歌舞伎」を前に、道頓堀川で6月29日、3年ぶりの「船乗り込み」が行われた。
「船乗り込み」は、歌舞伎に出演する俳優が船で川を巡り、川岸のファンらにあいさつを行う伝統行事。ルーツは江戸時代までにさかのぼり、歌舞伎役者が京都や江戸から来阪する際に、川沿いを巡りながら、ひいき客らにあいさつし、道頓堀の芝居小屋へと乗り込んでいたことに由来する。2020年・2021年はコロナ禍で中止となっていたため、3年ぶりの開催となった。
今年は感染症予防の観点から、沿道や川岸への来場を一定数に制限し、一連の行事の模様をオンラインで配信した。出演する中村鴈治郎さん、中村扇雀さんなど13人が2艘(そう)の船に乗り13時30分ごろに戎橋に到着。関係者たちが紙吹雪や拍手で出迎えた。
下船後、松竹座で行われた式典で歌舞伎役者が意気込みを述べた。松本幸四郎さんは「船乗り込みの復活、うれしく思う。大阪松竹座は挑戦させていただいた場所。育てていただいた場所。たくさん汗をかいて努めたいと思う」。中村勘九郎さんは「大阪松竹座の舞台は6年ぶり。船乗り込みは父の襲名以来17年ぶりで本当に懐かしく、うれしい。拍手、お手振りを力に変えて、ひと月良い舞台を努めたい」と意気込んだ。
七月大歌舞伎は7月24日まで。