後藤編集長:うめちゃんと初めてお会いしたのは、2年前の関西ツイッターサミットでしたよね。
うめちゃん:そうですね。
後藤編集長:その後、何度か間接的にお会いしていますが、詳しく話を聞くのは初めてです。結構メディアに取り上げられていますよね。さっそくですが、最初にメディアに取り上げられたのは?
うめちゃん:2010年11月に関西テレビの「プチッとく」という番組で放送されました。2011年2月には、朝日放送の「おはよう朝日」で放送されたのですが、本当は「萌え」特集で、メイド喫茶を回るという企画だったらしいのですが、最後に、なぜか卵かけご飯を食べて帰るという企画になっていました。
後藤編集長:ほかには?
うめちゃん:読売テレビの「かんさい情報ネットten!」では、ごはんのコーナーがあって1~2分くらい流してもらいました。内容は、芸人のプラン9のヤナギブソンさんがコンシェルジュとして、案内する設定でゲストの末成由美さんにご飯を食べてもらう企画で、卵かけご飯を食べてもらいました。
後藤編集長:店は、いつオープンされたのですか?
うめちゃん:2010年の1月29日です。
後藤編集長:今までに、広告を出したことは?
うめちゃん:広告はほとんど出してなくて、今はフリーペーパーの「pontab(ぽんタブ)」に掲載してるくらい。ほかはない。
後藤編集長:こんなに有名になったきっかけは?
うめちゃん:プレオープンの日を決めたのは、店が完成したので開けようと思っただけで、メニューなにも決まっていなくて、ただ、卵かけご飯だけを出そうと決めていた。店が工事中だった時に通行人に「何の店をするのですか?」と尋ねられて「1月29日に卵かけご飯の店をしようと思っている」と答えたことがありました。私は、その時は知らなかったのですが、誰かが書き込んでくれていたみたいで、ツイッターで少し話題になっていたらしい。店には、張り紙も、看板も出してなかったが、オープンするとお客さんがきたので「なぜ?」と思っていた。しかも、店にお客さんが並んだので「これはなに?」という感じで始まったのがツイッターでした。
後藤編集長:通行人が「この店は何?」と尋ねられたことがきっかけだったということですね。
うめちゃん:はい。その情報を知った「ぽんタブ」の編集長が「おもしろいので、確かめててくる」ということで店に来られた。
後藤編集長:通りがかった人がツイートして話題になり、「ぽんタブ」の編集長が拾って拡散したということなんですね。その時はすでに、ツイッターはしていましたか?
うめちゃん:いいえ、2010年の3月くらいから始めました。それまで、ネットが得意ではなかったので、SNS(ソーシャルネットワーキング・サービス)自体が分からず、ツイッター、ブログの違いも判らなかった。
後藤編集長:お客さんに来店した経緯を聞きましたか?
うめちゃん:お客さんは「ツイッターを見て」「ブログ見て」と答えられたのですが、その時、私はブログも、ツイッターもホームページも立ち上げてもいなかった。
後藤編集長:ツイッターを始めたきっかけは?
うめちゃん:アカウントを取得して1、2週間放置していたらお客さんがアカウントを見つけて下さってフォローしてもらった。そこで「なぜ、つぶやかないの?発言しないの?」と言われて、「発言します」となった。
後藤編集長:お客さんはどうやってうめちゃんのアカウントを知ったのですか?
うめちゃん:日本語で「美味卯のうめ」で登録していたので、「美味卯」でヒットしたようです。一人が見つけてくれたら、ハッシュタグで「#pontab」「#bimiu」などを作ってくれていた。お客さんが、「美味卯なう」と、タイムラインで流してくれていた。
後藤編集長:どうやってここまでツイッターを活用するようになったのですか?
うめちゃん:最初は「ツイッターはどう使いばいいの?」「ツイッターとは?」などを質問してツイッターを通して教えてもらっていた。他にも、家でパソコン設定をしてた時に「こんな画面が出たけど、どうしたらいいですか?」と聞いたら、ツイッターをしている人が教えてくれた。質問したら答えてくれて「ありがとう」ということを繰り返した。最初はそうしていたが、「今日は、こんなことがあった」と報告すると、誰かが返信やツッコんでくれたので、おもしろい出来事、変わったものの写真を付けたり、反応が返ってくるように、疑問文や変わったことをつぶやくようになりました。
後藤編集長:ツッコミどころをおいておくということも大切ということなんですね。
うめちゃん:そうですね。「なにこれ」とか、ツッコんでもらうように工夫しました。
後藤編集長:ツイッターのフォロアーは何人いますか?
うめちゃん:4000くらいです。
後藤編集長:この数は、フォロー返しで増えたのか、それとも勝手にどんどん増えたものですか?
うめちゃん:最初は、1000くらいフォローがつきました。その後、フォロー返しがあって、1500くらいでで止まったので、もっと増やしたいと思い「日本橋によく行く人」「卵かけご飯」のキーワードやオーディオが好きな方を中心に2000くらいフォローしました。フォローするときは、前後の話を見て、フォローさせてもらいました。
後藤編集長:勝手にフォローして黙っているのではなく、フォローをした後、最近の発言を見て、投げかけや質問をしたんですね。
うめちゃん:一言添えるというをしていました。
後藤編集長:フォローするのは、企業も?
うめちゃん:最初は、一般のお客さんを中心にしていましたが、企業もツイッターをしていると知って、加ト吉さん、ゼビオさん、すき家さん、ローソンさん、大阪王将さんをどんどんフォローしました。
後藤編集長:ツイッターの成功事例としてよくあがってくる企業ですね。
うめちゃん:そうですね、大手企業のアカウントをフォローしていきました。印象が残らないとおもしろくないので、アピールをしました。毎日、おはようございますと挨拶していたのですが、途中から卵を文字って「エッグモーニング」「こんたまわ」とすると、相手も「それおもしろいね」と返してくれたり、「ネタ」として使ってくれた。
後藤編集長:加ト吉さんは「おはようございますうどん」とかされてましたよね。
うめちゃん:それに似てます。
後藤編集長:企業アカウントと個人アカウントをフォローすると違う効果はありますか?
うめちゃん:企業とやりとりすると、企業アカウントのファンも見に来てくれたりします。
後藤編集長:具体的にこういうやり取りをしたら、ファンが増えたというのはありますか?
うめちゃん:大阪王将さんの場合、「餃子」の「餃」が、「鮫(サメ)」に見えるから、「さめこ」とよばれていた。大阪王将さんも「さめこ」を広げたいということで、私も「さめこ」と広めると、周りの人も、おもしろいとフォローしてくれた。
後藤編集長:ツイッターで店に来てという働きかけはされましたか?
うめちゃん:「行くね」と言われたら、「来てね」とは言いますが、強制とかはしなかった。ただ、絶対に「大阪 日本橋 卵かけごはん専門店 美味卯のうめです、よろしくお願いします」とは書いた。それは、毎回ウェブでつぶやくことで、検索のときに、そのキーワードが引っかかってほしいと思い、自分の発言や、返信で積極的に使い、アピールしました。
後藤編集長:ツイッターで「大阪 日本橋 卵かけごはん専門店 美味卯のうめです」と いうと、「大阪 日本橋 卵かけごはん 美味卯」というキーワードが残り、それを検索すると、ヒットし、ホームページやブログにいくと。
うめちゃん:大阪だと早い段階で美味卯がひっかかるように努力しました。全国で、たまごかけご飯専門店が増えているので。
後藤編集長:お客さんの来店のきっかけは?
うめちゃん:ほとんどがSNSのつながりで、他は、テレビ、ラジオ、雑誌など。
後藤編集長:ツイッターの手ごたえは?
うめちゃん:最初は実感しなかったのですが、企業アカウントにイベント誘われていってみると「美味卯」さんですねと声を掛けられ、その時に、アカウントで広がっていると実感しました。
後藤編集長:それは、ツイッターを始めてどれくらいのことですか?
うめちゃん:半年くらい。
後藤編集長:それはけっこう早いですね。ツイッターで、有名になり、メディアに取り上げられるようになったんですね。
うめちゃん:最初にも少しお話をしたのですが、一番初めは関西テレビの「プチッとく」に取り上げてもらいました。その時、ホームページはできていたが、ランキング的には、上にはきていなかったのですが、ツイッターアカウントは上にきていた。番組作る制作会社の人がツイッターとブログを見て来られた。
後藤編集長:この時の、取り上げられ方の切り口は?
うめちゃん:卵かけごはん専門店で、卵は6種類があって、お米にこだわっていて、というのがサーっと放送された。放送が朝の11時20分からなので主婦が見ている時間帯ですね。
後藤編集長:その後の反応は?
うめちゃん:まっぷるマガジン担当の方から連絡あり、大阪の街のベストスポットということで、お昼ごはんをここで食べたらいいよということで、紹介された。それを見た、雑誌の「Meets(ミーツ)」を担当している方とお会いすることがあり、声をかけてもらった。その後、大阪24区というコーナーで取り上げてもらった。切り口としては、1回目はお昼ご飯で、2回目は、24区内ででおもしろい専門店ということでした。大学卒業後、起業したということで、ギャップが激しいということもあったかもしれません。
後藤編集長:その後、メディアには取り上げられましたか?
うめちゃん:年が開けて、朝日放送の「おはよう朝日」、読売テレビの「かんさい情報ネットten!」で紹介されました。これは、ミーツを見て知ったということです。インターネットでは、「大阪」「日本橋」「専門店」で検索されました。
後藤編集長:メディアに取り上げられた後の効果は?
うめちゃん:目に見えて分かりました。瞬間的なお客さんもいましたが、2週間くらい持続しましたね。関西の遠いとこからも来てくれたり、リピーターも結構います。
後藤編集長:来店動機はメディアの効果が大きかったですか?
うめちゃん:ほとんどそうですね。
後藤編集長:最近のメディアの露出の状況はいかがですか? うめちゃん:ラジオや、南海電鉄のフリーペーパー「NATTS(ナッツ)」、ケーブルテレビのジェイコムで紹介頂きました。
後藤編集長:ということは、店は絶好ですね。
うめちゃん:絶好調は絶好調。
後藤編集長:メディアやSNSで話題になる方法やポイントあれば教えてください。
うめちゃん:ホームページ、ブログなど安定した場所を作っておくこと。最終的に探してもらっても、場所、電話番号分からないということがあるので、一回一回答えるのも大変です。また、プロフィールも詳しく書いておくこと。自分の店の特徴をキーワードに入れること。SNSにもいろいろあるのですが、グリー、フェイスブック、ミクシーなどそれぞれの媒体に似た雰囲気のSNSがある場合は連動させたりした。また、その中でゲームで高得点取り、他の人が反応してくれるかなと思って試しましたが、結果的には、時間が無駄でした。また、それぞれのSNSには色があるので、それにあったものを載せるように気をつけた。例えば、ご飯系のものが多ければ、賄いや自分の食べている料理などを載せた。また、アイコンはころころ変えないこと。アイコンは顔なので。
また、個人の店だからできることかもしれませんが、お客さんのタイムラインを見られるときは見るようにしています。流れをみて、それを話題にしています。つい最近のことですが、美味卯で特別にカツカレーを出したことがあります。その日、タイムラインを見ていたら「総裁選前に安倍総裁が3,500円のカツカレーを食べた」という話題があり、それに対して「高い」や「食べてもいいやん」と騒いでいたのので、私もその話題にのってカツカレーを出しました。もちろん「3,500円ではないけど」と入れました。ほかには、店で扱う卵の注文のトラブルで、卵屋さんが美々卯の梅田店さんに間違えて商品を持っていかれたことがありました。私が美味卯の梅田なので、聞き間違えられたみたいです。このことをツイッターやフェイスブックに出すと盛り上がったので、その夜はうどんすきをしました。なんでもイベント化する。話題になればイベント化しました。
後藤編集長: SNSの活用法は?
うめちゃん:誰でもフォローするのでなく、来てほしい客層を、フォローしていく。近くの地域や仲良くなった客の周りをフォローする。お客さんの後ろにいるお客さんや、お客さんになってもらえそうな層をフォローしています。
後藤編集長:お客さんと、その周りの人も店にきてくれると。
うめちゃん:お客さんとそのつながりある人が、店で待ち合わせをして友達になって帰られることがあります。
後藤編集長:最後に、今後の店の展開を教えてください。
うめちゃん:卵かけご飯専門店として発展していきたいのですが、もともと、ここにいろんな人が集まるのが目的だったで、このようにいろいろな人に活用してもらい、いろんな人と交流できる場所にしたいですね。また、プロジェクターやスクリーンもありますので、いろんな活用をしてほしい。