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阪神なんば線開業まで、いよいよあと4カ月
「九条」「ドーム前」「桜川」の新3駅をいち早くレポート

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ドーム前駅ホーム

■阪神なんば線と新3駅の特徴

 阪神なんば線は、現在の阪神西大阪線(尼崎-西九条間、6.3キロメートル)を延伸し、近鉄難波駅で近鉄に接続する形で建設が進められている。10月16日には神戸-奈良間の線路を1本につなげる「レール締結式」も行なわれ、近々試運転が行われる模様だ。3.8キロメートルの新線区間のうち、約65%にあたる2.5キロメートルが地下を走る。

 開業する3駅はすべて地下駅で、大阪市営地下鉄や南海高野線との乗り換えができる。新3駅を含む西九条-近鉄難波間には全種別の列車が停車する予定で、最も長い近鉄の10両編成の列車が停車できるようホームの長さは215メートルを確保した。うち2駅は曲線上にプラットホームを設けており、乗降客を確認するためにモニター設備の設置を計画している。各駅のコンセプトは駅ごとに異なっており、今年10月に開業した京阪中之島線(中之島-天満橋間、3.0キロメートル)における新駅の統一感とは対称的だ。

九条駅ホーム

■九条駅-ビル一角の出入口に40年ぶりに光が差し込む

40年ぶりに開かれる東側出口の通路 新3駅のうち最も神戸寄りに位置するのが九条駅(大阪市西区九条1)。駅の東西に出入口を設け、西出口で大阪市営地下鉄中央線に接続する。一方の東出口はNTT西日本南ビルの一角に設ける。同ビルは旧電電公社が1968(昭和43)年に建設したビルで、当時阪神が単独事業として同区間の建設を進める際に、駅への出入口として使われる予定だった。しかし地元住民の反対などで工事が中断し、長らく使用されないままになっていた。阪神なんば線の建設工事で40年ぶりに日の目を見ることとなる。

40年ぶりに使われる東側出口への階段 東出口の階段部分に足を踏み入れると、側壁がタイル張りになっているなど当時の面影を残す雰囲気だが、駅のデザインを統一するために開業時には側壁部分には別のデザインが採用される予定だ。また、交差点を挟んで斜め向かいにある住金興産九条ビル内にも出入口用の階段が建設されていたが、こちらは使用されないままになる。

九条駅西側出入口の工事のようす コンコースは地下1階にあり、東西に改札口を設ける。両改札間は改札外でも地下通路でつながる。大阪市電創業の地であることから、開業当初の車両に使われていた色に近いグレー系を壁面に採用した。改札階からホーム階への階段の手すりには、「クネット」と呼ばれる波形手すりを採用、年配の利用客でもつかみやすいように「段に合わせた波形になるよう」(同駅工事担当者)配慮した。ホームは両側に線路が通る「島式1面(ホームの両側に線路を配置)」といわれる形状で、大きくカーブしている。視覚障害者などの転落防止のためにホーム端に警告用ブロックを設置、一部を蓄光式とした。

九条駅ホームから神戸方向を望む 奈良寄りのドーム前駅から神戸寄りの西九条駅までは上りこう配が続いており、九条駅の西方約200メートルで地上に達する。ホームの神戸寄りからは地上部分を望むことができる。駅周辺は中央大通りの南側に位置しており、住宅地や小規模の工場が広がる。近隣住民の移動手段として、また中央線との乗換駅としての役割を果たすことになりそうだ。

■ドーム前駅-開発が進む京セラドーム大阪の最寄り駅

ドーム前駅南側出入口 ドーム前駅(大阪市西区千代崎3)は京セラドーム大阪の最寄り駅で、大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線大阪ドーム前千代崎駅と接続する。南北2カ所に透明なガラスで囲まれた三角形の出入口を設ける。このうち南出口は京セラドーム大阪に最も近いメーンの出入口となる。階段やエスカレーター、エレベーターを完備し、ドーム前千代崎駅とは地下通路で結ぶ。大阪市が運営する駐輪場とも地下通路で結ぶ。

地下2階コンコースのアーチ型オブジェ 改札階は地下2階。コンコースはイベント時の乗客の集中に対応できるよう広くし、券売機スペースも6台分準備した。改札口付近には甲子園球場のチケット売り場をイメージしたアーチ型のオブジェを設け、球場の最寄り駅であることをアピールしている。このオブジェは掲示板としての役割も果たす。改札内には男女共用の多機能トイレを通常の1室よりも多い2室設置する。

地下4階のコンコース 島式1面のホーム階(地下5階)は地下約30メートルの深さで、長堀鶴見緑地線のさらに下を通り、新3駅の中では最も深い位置にある。改札階からホームへは途中、地下4階のコンコースを経ることになる。京セラドーム大阪でのイベント終了時刻直後に利用客が一気に駅に押し寄せた際には、地下4階のコンコースでホーム階への乗客の移動を調節できるようにした。

地下5階ホーム階 地下2階から地下4階までは吹き抜けとし、人が多くとどまっても圧迫感を感じないよう配慮した。ホーム階と地下4階も吹き抜けとし、地下4階コンコースからは駅に進入する列車を上から眺めることができる。ホーム階も吹き抜けになっている地下駅は珍しく、圧迫感は感じられない。

駅進入口に設けられた防潮扉 ホームの壁面は、同駅周辺が大阪ガスの創業地であることから、当時の岩崎町工場が建設された際の建物をイメージしてレンガを採用し、温かみのある空間を作り上げた。同駅の桜川駅側が新線内で最も深い場所で、その先は木津川の下をくぐる。万一の浸水に備えて駅進入部には防潮扉を設置、万全の体制を整える。

駅前に広がる空き地 同駅周辺では現在、大規模商業施設や高層マンションなどの開発が本格化している。京セラドーム大阪の最寄り駅であると同時に神戸-奈良間のほぼ中間に位置し、ミナミへも出やすい。周辺地域は開発余地も多く、キタ、ミナミと並んで今後の発展が期待できる地域の1つといわれている。駅前にはイオンが核テナントとなる大型商業施設が予定されているほか、京セラドーム大阪の西側にも複合商業施設と総合病院の建設が計画されるなど、今後大きな変化が見込まれる地域だ。

■桜川駅-ホーム壁面は上下線で異なるイメージに

 桜川駅(大阪市浪速区幸町2)は近鉄難波駅の西方にあり、新なにわ筋と千日前通が交差する汐見橋交差点の四隅に、ガラスでできたタワー形状の出入口を設置する。大阪市営地下鉄千日前線、南海高野線汐見橋駅と接続する。汐見橋駅に最も近い南西側出入口に階段とエスカレーター、エレベーターを設置、その他の3カ所は階段とエレベーターを設置。千日前線桜川駅とは地下通路で直結する。

改札階コンコースから列車が見える構造 地下1階にはコンコースを設置、一部が吹き抜けになっており列車が通過するのを見ることができる。コンコースには木を印象づける茶系の床材を使用し、落ち着きのある温かい雰囲気を醸し出す。出入口への階段付近には壁面からの照明を用いた「光壁」を採用し、先進的なイメージを表現した。

工事が進む桜川駅ホーム ホーム階は地下2階で、島式1面。壁面は鉄道の駅としては珍しく、上下線で異なるイメージとした。難波方面行きホームは金属素材を用いシャープなイメージを表現、未来への広がりを期待させる。西九条方面行きホームはタイルでボーダーラインを描き、懐かしさや歴史を感じさせるイメージとした。

桜川駅西方の引き上げ線 同駅の西側には引き上げ線(列車の方向転換や入れ替えを行うための側線)を2線設置した。現在、近鉄難波駅の西側にある引き上げ線3線のうち両端の2線が阪神なんば線の本線となり、折り返しに支障が出るために設けられたものだ。神戸方面に直通しない近鉄の車両は近鉄難波駅の西側に残る1線と合わせ、ここでも折り返す形で運用する。

立花通り(オレンジストリート) 駅周辺はマンションや小規模な工場が立ち並ぶ。駅北側の南堀江地区には、家具店やセレクトショップが並ぶ立花通り(オレンジストリート)が位置しており、穏やかな街並みだ。利用者は地域住民と、南堀江周辺に出かける若者らが中心になると見られる。

■開業に向け期待感が高まる新駅周辺

阪神なんば線地下線 阪神は11月24日に、ドーム前駅から西九条駅付近までの建設中の新線を歩くイベント「阪神なんば線新線ウォーク」を開催するなど、阪神なんば線の開業に向けた認知度向上のための取り組みを本格化させている。イベント終了後には実際に列車が乗り入れて試運転や乗務員の習熟訓練を行うことになっている。

 広域なんば圏では、新3駅のなかでも桜川駅がもたらすインパクトにも注目が集まる。南堀江の立花通りは西に行くほど人通りが少なくなり、現状では立花通りを新なにわ筋まで歩く人はほとんどいない状況だが、桜川駅の開業により、難波駅から立花通りをショッピングしながら歩き、桜川駅から帰るという動線も考えられる。阪神なんば線の開業に向けて、沿線の期待は日ごとに高まりを見せる。

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