JTBパブリッシング(東京都新宿区)は12月15日、織田作之助の小説「夫婦善哉」を収録した旅行ガイドブック「名作旅訳文庫6 大阪『夫婦善哉』『アド・バルーン』織田作之助」を発売した。
1913(大正2)年に大阪市南区生玉前町(現在の天王寺区上汐町)で生まれた織田作之助は、自身の親族をモデルに、大阪・ミナミの法善寺を中心にした小説「夫婦善哉」を描いた。同書には、「夫婦善哉」を全文収録するとともに、小説に登場する店やエピソード、時代背景などをほぼ全ページに渡って掲載。近代文学の舞台を追体験したり、当時の生活や世相を想像しながら街歩きができるように工夫した。
織田作之助が利用した「天牛書店」は現在の「大阪なんばワシントンホテルプラザ」になっていること、小説に出てくる「歌舞伎座」は1932(昭和7)年に千日前南西角地に昭和7年にオープンし、その後御堂筋沿いに「新歌舞伎座」として移転、さらに2010年には上本町に移転すること、洋食屋「自由軒」でのエピソードなどが掲載されている。
同社担当者は「『るるぶ』などのガイドブックを制作する担当者が、文芸作品とその舞台に関する情報を一緒に読むことで、より深く旅を楽しんでもらいたいという発想で編集を進めた」と話す。
初回発行部数は1万2,000部。