湊町のギャラリーで個展「暗がりと白い影」-余白に込めた思い

新作6作品を展示する

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 大阪・湊町の「A.I.R 1963ビルディング」(大阪市浪速区元町1)3階にある「ギャラリーほそかわ」(TEL 06-6633-0116)で現在、居城純子展「暗がりと白い影」が開催されている。

わざと余白をつくった2点連作

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 同ギャラリーは、1997年に北浜で国内外の現代美術を扱うギャラリーとして開業、今年で8回目を迎える現代美術のアートフェア「ART OSAKA」には、初回から実行委員としても参加している。「10年前はなんばでギャラリーを開設することは考えられなかった」と話すのは、オーナーの細川佳洋子さん。しかし、不況の影響で閉業していく他のギャラリーの状況を目の当たりにし、「従来の画廊のやり方・考え方を変えていかなければ」という思いが強くなり、昨年7月、大阪初の「アートコンプレックス」としてビル全体でアートの活性化を目指す同ビルに移転して来た。

 同ギャラリーとの関係は約10年に及ぶという居城さんは、1974(昭和49)年静岡県生まれ。2001年に東京芸術大学大学院修士課程油画を修了後、東京や大阪の画廊をはじめ、静岡県立美術館や群馬県立近代美術館など各地で作品を発表している。抽象画を描いていた学生時代から、現在は奈良県高の原にあるアトリエ近くの風景画を中心に、でき上がった絵を燃やすプロジェクトやマスキングによって余白をつくった作品など、実験的な作品発表を続けている。

 同展では、ヒマラヤのラダックを旅した印象をもとに犬と「白い影」のコントラストを描いた3点連作、アトリエ近くの風景画にわざと余白をつくった2点連作など、新作計6作品を展示する。写実的な部分と抽象的な部分が1つの絵に同居した作品について、「同じ景色を見たとしても、記憶の中にある風景というのは人それぞれに違うのではないか。その思いを絵の中で表現した」と居城さんは話す。マスキングによりできた風景画の中の余白は、「それぞれの記憶や想像で埋めてもらうための『導入口』」として描いているという。

 「風景は初めからそこにあるのではなく、それを見ている自我によって初めて作られる」と表現する居城さん。「風景を限定する自我とは何か。風景の限界に挑戦し、『壊して』いくことで新たな絵画の方向性を探りたい」と意欲をみせる。

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