「巨人ゆえにデカイ」などのバンド活動でも知られるアーティスト・水内義人さんの個展「ハナクソの香り」が現在、大阪・アメリカ村の「FUKUGAN GALLERY(複眼ギャラリー)」(大阪市中央区西心斎橋1、TEL 06-6253-3266)で行われている。
ビニールハウスでは、100種類の液体を水に戻す実験が行われている
1978(昭和53)年北海道・帯広市生まれの水内さんは、大阪芸術大学在学中から、美術や音楽、舞台などの活動をスタート。2001年に舞台「裸の王様」でKIRIN ART AWARD奨励賞、2005年には段ボールで制作した立体作品「フランス料理もくそになる」で群馬青年ビエンナーレ奨励賞を受賞した。自主音楽レーベル「FRING START RECORDS」を2003年に設立したほか、バンド「巨人ゆえにデカイ」「アウトドアホームレス」、ソロユニット「みゆき4世紀」などの音楽活動も展開する。
水内さんは今年、米ニューヨークのiscpスタジオに半年間滞在。音楽パフォーマンスやグループ展などさまざまな活動を経て帰国した水内さんにとって同展が帰国後初の個展となる。ユニークなタイトルは、匂いをテーマにした作品も多い水内さんが、「どんないい匂いも自分のハナクソの香りを通してしか嗅げない」という思いで付けたもの。
同展ではギャラリー全体を使って新作8点を展示。中央に設置したビニールハウスでは、栄養ドリンクや調味料など100種類の液体を蒸発させて除湿し、純粋な水に戻す実験が行われていたり、7つのTVチャンネルを同時に流す映像と音楽の実験が行われていたりと、日々表情を変える作品が目立つ。同ギャラリーの村田典子さんは「制作工程のドキドキ感を会場で追体験できる面白さがある」と同展の魅力を語る。
「飽き性なので、制作中も『こうしたらどうなるだろう』というワクワク感を大切にしたい」という水内さんは、ニューヨークでの経験を経て「以前より身軽になった」という。会場には、そんな心境を反映したような、素材そのものを生かした作品が並ぶ。「今回は作り込むのではなくて、なるべく手を加えないでどんなものが出来上がるのかを見てみたかった。その制作過程を楽しんでもらえたら」と話す。
開催時間は13時~20時。日曜・月曜・火曜定休。入場無料。12月18日まで。