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アメリカ村に村上隆さん-新著「芸術闘争論」のトークイベントで

アメリカ村で村上隆さんのトークイベント「闘争論3」が行われた

アメリカ村で村上隆さんのトークイベント「闘争論3」が行われた

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 大阪・アメリカ村の書店「スタンダードブックストア」(大阪市中央区西心斎橋2、TEL 06-6484-2239)地下1階のカフェで12月11日、世界を舞台に活躍するアーティスト・村上隆さんのトークイベント「闘争論3」が行われ、120人が会場に詰めかけた。

作品の制作過程を一つひとつ丁寧に解説する村上さん

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 村上さんは1962(昭和37)年東京都生まれのアーティスト。1991年に初個展「TAKASHI, TAMIYA」を開催した後、1993年に東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程を修了。アニメやフィギュアなど日本の「ポップカルチャー」を体現した作品で知られる村上さんは、2007年に世界3カ国4カ所で大規模な回顧展「(c)MURAKAMI」、今年は世界遺産ベルサイユ宮殿で展覧会「Murakami Versailles」を行うなど、世界を舞台に活躍している。2006年の「ベスト展覧会賞」ほか、受賞歴多数。六本木ヒルズのトータルプロデュースや、ヒップホップ歌手カニエ・ウェストさんのアルバムジャケット、ルイ・ヴィトンの鞄をデザインするなど、数多くのコラボレーションにも取り組んでいる。

 「村上隆の闘争論」と題した、新著「芸術闘争論」(幻冬社、11月25日刊行)の講演会ツアー(全4回)を開催している村上さん。同イベントは、台湾、渋谷での講演会に続く第3弾として開催したもの。幻冬社編集局の穂原俊二さんが司会を務め、同書を執筆した経緯やアートの歴史などを一つひとつ丁寧に解説。当初の予定を大きく上回る2時間半と講演は長時間にわたったが、参加者たちはメモを取りながら熱心に耳を傾けていた。

 講演中、「日本の美術系教育機関は、美術のことを全く理解していない。美術を学ぶ人口比率は世界一なのにもかかわらず、美術とは何かをきちんと教えてもらっていないのは不幸すぎる。今ここで、マーケット・文脈・絵の見方の文法について伝えなければ、日本は『宝の持ち腐れ』になってしまう」と危機感をあらわにした村上さん。「チェスにルールがあるように、アートにもルールがある」として、今世界のアートシーンで活躍するアーティスト6人の作品をスクリーンに映しながら、ポイントを解説したほか、「実践編」として村上さん自身の作品の制作過程をスクリーンで紹介した。

 講演後に行われた質疑応答のコーナーでは、要領を得ない質問や論点から外れた質問が続いたため、村上さんから「コミュニケーション力を鍛えてください」と忠告する場面も。それでも、イベントを終えた村上さんは「今までの講演で大阪が一番熱かった。質問者の皆さんも深く考えているからこそ思いをぶつけてくれたんだと思う。そういう熱い思いを持っているということが大切」(同店スタッフ談)と話していたという。

 本の中で「世界のアートシーンへ日本人アーティストを一気に200人輩出させる」という野望を語った村上さんは、同書について、世界で活躍するアーティストを育成するための「注釈つきのハウツー本的に作った」と説明。約5年の歳月をかけて作られた同書は、「今日のアート」「鑑賞編」「実作編」「未来編」の4章、全283ページに及ぶ。「本をきちんと読んでくれた人が、一人でも目を開けてくれれば」と期待を寄せる。

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