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南堀江で後藤靖香さんの個展-シベリア出兵時代の若い水兵描く

シベリア出兵の時代を生きた若い水兵たちの姿を描いた作品が並ぶ

シベリア出兵の時代を生きた若い水兵たちの姿を描いた作品が並ぶ

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 南堀江の「TEZUKAYAMA GALLERY(テヅカヤマ・ギャラリー)」(大阪市西区南堀江1、TEL 06-6534-3993)で現在、力強いタッチで戦時中の市民を描き注目を集める画家・後藤靖香さんの個展「羊羹(ようかん)オサライ」が開催されている。

返送されてきたはがきを読む様子を描いた「返送はがき」

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 1982(昭和57)年広島県生まれの後藤さんは、京都精華大学芸術学部造形学科洋画コースを卒業。2005年に広島市現代美術館主催の「新・公募展」、翌年に東京都現代美術館主催の「東京ワンダーウォール公募」、2008年に「第11回 岡本太郎現代芸術賞展」に入選。今年国立国際美術館(北区中之島)で開催されたグループ展「絵画の庭」には、日本の現代美術を代表する画家28人の一人に選ばれ出品。大画面に墨汁で第二次世界大戦下の兵士を描いた作品は注目を浴びた。

 若手作家の発掘にも力を入れる同ギャラリーが、大阪では初となる後藤さんの個展を企画。戦争当時、市民に希少な楽しみの時間を提供していたお菓子「羊羹」。そんな特殊な状況下にあった時代を「オサライ」する同展では後藤さんの新作5点を紹介する。

 今回後藤さんが描いたのは、1918年~22年のシベリア出兵の時代を生きた若い水兵たちの姿。会場には、デッキを掃除する様子を描いた「ソーフがけ」(80万円)や、返送されてきたはがきを読む様子を描いた「返送はがき」(60万円)などの作品に加え、当時の時代背景を説明した資料代わりの1枚も併せて展示する。

 「前回の『絵画の庭』展の作品が、戦争真っただ中の若者を描いた悲壮感を感じる作品だとすれば、今回はまだ本格的な戦争に入る前の時代が描かれ、画面からもう少し明るさを感じる作品」と解説する同ギャラリー・アシスタントディレクターの宮下和秀さん。「手や足が大きく印象的だったり、顔から湯気のようなものが描かれていたり、昔描いていたこともあったという漫画の影響が感じられる作風」で、顔料ペンと墨の太い線を使って描いたキャンバスをむき出しで展示した「生々しさ」が特徴と話す。

 同展は、「期間を設けて、各ギャラリーのセレクトで20代の若手作家を紹介していこう」と大阪の5つのギャラリーが開催している「Osaka Art Complex(大阪アートコンプレックス)vol. 3」の一環。期間中、全ギャラリーを巡ってスタンプを集めると、エコバックが進呈される。宮下さんは「ギャラリーに足を運んでもらうきっかけになれば。継続することでアートファンを増やしていきたい」と期待を寄せる。

 開催時間は11時~19時。日曜・月曜・祝日定休。入場無料。今月24日まで。

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