関西大学大阪都市遺産研究センター(大阪府吹田市)と道頓堀商店会(大阪市中央区道頓堀1)が1月29日、「TORII HALL」(千日前1)で「芝居町道頓堀の景観復元をめざして」と題したフォーラムを開いた。
大阪の都市景観変遷の解明を目指す同センターは、「近代大阪の失われた景観復元」に取り組んでいる。その一環として、かつては芝居町として、現在では「くいだおれ」の街として景観が大きく変化した道頓堀に焦点を当て、道頓堀を中心に舞台芸術家として活躍した山田伸吉(しんきち)の調査研究や、古写真や絵はがきなどを基にしたCG(コンピューター・グラフィックス)「道頓堀五座の風景」を制作している。同フォーラムは、同大と同商店会が1月16日に、教育・文化・街の活性化などの分野における連携協力協定を締結したことを記念に開催した。
フォーラムの冒頭、同商店会の今井徹会長が「芝居町として栄えていたころの道頓堀を地元の人間として再確認したい」とあいさつ。その後、同センターのスタッフが山田伸吉の足跡と、道頓堀を中心に大阪各地の劇場の設計・建設を手掛けた中村儀右衛門(ぎえもん)の建築図面を紹介したほか、それらの資料を基に当時の道頓堀の様子を解説した。
山田伸吉は1901(明治36)年生まれ。21歳から松竹座で演劇のポスターやパンフレットなどのデザインを始め、後に舞台の背景画を描いたほか、本の挿絵として法善寺横丁の風景を描いたこともある。中村儀右衛門は1852年生まれ。道頓堀をはじめ、千日前、松島、天満、梅田、堀江などの劇場の修復や設計・建設に携わった。同大が入手した建築図面や仕様書などには、角座、浪花座、弁天座、中座のものが含まれているといい、内容の解析を進めている。