今回の全館グランドオープンの目玉は、西ゾーンの2~5階の4フロアを占める「タカシマヤメンズ」だ。リニューアル前の1.7倍となる8,000平方メートルと売り場面積を拡大し、110の新規ブランドを含む450ブランドを集積した。従来は5階全体をメンズフロアとしていたため、横移動が中心だったものを、リニューアルにより西ゾーン4フロアと縦方向の移動となり、買い回りしやすくしたのが特徴だ。
なんば高島屋が全館リニューアル-売り場面積が1.4倍に(なんば経済新聞)
タカシマヤメンズのフロア構成は、2階=紳士雑貨、3階=メンズコンテンポラリースタイル、4階=メンズカジュアルスタイル、5階=メンズプレタ・メンズビジネススタイル。中でも注目のフロアは20~30代をメーンターゲットに据える3階で、トレンドを取り入れたメンズファッションを集約、メンズショップでは日本初となる「マーク バイ マークジェイコブス」や、百貨店初出店となるボスのスポーツ・カジュアルラインの「ボス オレンジ」が出店する。
その他「マーガレット ハウエル」「マッキントッシュ フィロソフィー」「エンターG」「ランバン オン ブルー」「アニエスベー オム」「ラグライズ」「ディーゼルグッズ」「ディーゼル ブラックゴールド」「コム デ ギャルソン」「ヴィヴィアン ウエストウッド」「ミッシェルクラン」「サマンサキングス」を新たに導入。既存の「ポールスミスコレクション」「バーバリー ブラックレーベル」「タケオ キクチ」「コムサメン」「ck カルバンクライン」と合わせ19ブランドが出店する。
2010年5月に先行オープンした4階の「メンズカジュアルスタイル」は、アラフォーのオフスタイルを「コンフォート」「スポーツ」「モード」「トラッド」の4つのテイスト別に編集した。従来のメンズの顧客は50代が中心だったことから、メーンターゲット年齢を10歳ほど下げたことになる。
一方で5階の「メンズプレタ・メンズビジネススタイル」では、従来の顧客層に対し海外ブランドを集約した。新しく「エトロ」「ハイドロゲン」を導入するほか、以前からある「アルフレッド ダンヒル」「サルバトーレ フェラガモ」「エルメネジルド ゼニア」「アルマーニ コレツィオーニ」「ボス」「バーバリー」「アクアスキュータム」「ダックス」「ミラ・ショーン」「ランバン コレクション」「ピエール・カルダン」が出店する。
5階には、30~40代に向けた高島屋の自主編集ゾーン「ケーススタディー クラス」も新設。「オーセンティック・モダン」をコンセプトに、バイヤーが選んだブランドを紹介する。当初は「ポリオリ」「モンクレール」「アリストクラティコ」「スリードッツ」「インコテックス」「フィナモレ」など15ブランドでスタートする。
2階には、紳士靴、革小物、ワイシャツ、ネクタイ、旅行用品など男性向けの雑貨を集約した。紳士靴ブランドの「JMウエストン」「アルフレッドサージェント」「トリッカーズ」「リーガルウォーク」「オニツカタイガー」など18ブランドを新たに導入したほか、専門職人が靴を磨き上げる「シューポリッシュ」、9種類のデザイン、12種類の甲革、5種類の本底仕上げから選んで靴を作る「紳士靴パターンオーダー」を導入するなど、靴売り場を充実させた。
紳士かばん・旅行用品コーナーでは「コーチメンズ」「ビルアンバーグ」「レスポートサック」「サムソナイトブラック」など17ブランドを、ワイシャツ、ネクタイコーナーでは「フライ」「ルイジボレリ」「タイユアタイ」「エリコ・フォルミコラ」など17ブランドを新規導入。ボクサーパンツ専門のアンダーウエアセレクトショップ「アンダーキング」が関西初出店し注目を集める。
ちなみにタカシマヤメンズが位置する西ゾーンの地下1階には「スポーツ&ゴルフ」フロアを設けており、店内に設置するパンフレット「メンズフロアガイド」では2~5階のタカシマヤメンズと併せて地下1階も「メンズフロア」として一体的に紹介している。
6階の注目は、西ゾーンの呉服売り場のリニューアルだ。以前からある高価格帯の着物を販売するほか、「男のきものゾーン」ではアラフォー男性をターゲットに、18万円~と低価格帯の入門者向けの着物・羽織セットをそろえる。「はじめてのきものゾーン」でも、20~40代の女性向けに10万円~の着物を販売するなど、「着物ビギナー」を取り込む戦略だ。
また「コト機能の充実」として、悉皆(しっかい=着物のメンテナンス)コーナーを設け、着物の染み抜きや寸法直し、仕立て直しなどの相談に乗るほか、畳敷きの多目的ルームを新設し、着付け教室や作法実演などのイベントに活用する。
地下1階東ゾーンの和菓子・洋菓子売り場がリニューアルオープンにより完成した。売り場面積は1.2倍になり、新規18ブランドを含む70ブランドが展開する。
2010年12月にいち早くオープンした洋菓子売り場には、高島屋とエーデルワイスが共同開発した手頃な価格のスイーツブランド「マルクト スイーツデザインマーケット」や焼きドーナツの「コアフル」、バウムクーヘン専門店の「マイスターバウム」が人気を継続するほか、3月3日に完成した和菓子売り場にも、新たな注目店が出店した。 高島屋の新スイーツブランド「マルクト」、ブロガー30人招き試食会(なんば経済新聞) 大阪のおかきメーカー「とよす」と共同開発した新ブランド「かきたねキッチン」は、日本初の柿の種専門店。「和風だしカレー」「贅沢(ぜいたく)チーズ」など10種類の味を用意し、量り売りなどで販売する。大阪名物「粟おこし」の老舗「あみだ池大黒」が展開する新しいおこしのブランド「PON PON JAPON」も初出店。メープル味やブルーベリーヨーグルト味など、カジュアルなおこしを販売する。
日本初の柿の種専門店「かきたねキッチン」、大阪高島屋に1号店(デパチカドットコム)
そのほか宗右衛門町発祥の和菓子店「福寿堂秀信」が展開する餅菓子の新ブランド「ふくふく茶寮」が初出店、麻布十番のかりんと専門店「麻布かりんと」も関西初出店する。
増床により店舗面積が拡大したことから、休憩スペース「ローズパティオ」を3~6階の中央エレベーター前に新設した。子ども服売り場が隣接する6階のローズパティオには子ども向けにアニメなどを流すディスプレーも設置した。そのほか、店内各所にタッチパネル式の店内案内を設置するなど、来店客の利便性の向上を図る。
今回の全館リニューアルにより、なんば・心斎橋エリアにおける百貨店の大規模増床計画はひとまず終了となる。今後、4月26日にはあべの・天王寺エリアに東急不動産が開発を進めているショッピングモール「abeno CUES TOWN(あべのキューズタウン)」が6万9,000平方メートル、320店規模で新規出店。中でも渋谷の人気ブランドが集まる「SHIBUYA 109 ABENO」の出店が注目を集めている。
梅田エリアでも4月19日に「大丸梅田店」が全面リニューアル、従来の1.6倍となる6万4,000平方メートルの売り場面積となるほか、5月4日には「JR大阪三越伊勢丹」が5万平方メートル規模で新規出店、同店に隣接して同日オープンする駅ビルの専門店ゾーン「ルクア」も4万平方メートル規模で新規出店するなど、大阪市内の各ターミナルでは新規出店、大規模増床がめじろ押しだ。
大丸梅田店、4月19日新装オープンへ-「うふふガールズ」も登場(梅田経済新聞) JR大阪三越伊勢丹、5月4日開業へ-自主編集ゾーンを強化(梅田経済新聞) 5月4日開業「ルクア」、概要発表-梅田最多の198店舗に(梅田経済新聞)
梅田エリア、あべの・天王寺エリアと比較した、なんば・心斎橋エリアの特長は、なんばと心斎橋という2つの連接する駅にそれぞれ高島屋、大丸と大型百貨店が立地し、その間の約1キロを戎橋筋商店街、心斎橋筋商店街という大阪を代表する商店街が結ぶという点にある。特に心斎橋筋商店街にはH&M、ZARA、ユニクロ、g.u.、コレクトポイントなどのファストファッションが集積しているほか、中間地点には食い倒れの街・道頓堀もあり、観光気分でショッピングを楽しめる。百貨店競争を勝ち抜く鍵は、周辺の街場と連携したエリア一帯での取り組みにありそうだ。