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インタビュー2016-10-20

南海電鉄「なんば・まち創造部」和田真治部長に聞く、設立の経緯と仕事内容について

南海電鉄に今年6月、なんばエリアを軸にソフト面でのまちづくりを地元関係者を巻き込みながら推進することを担う「なんば・まち創造部」が誕生した。今回のインタビューでは、同部の部長に就任した和田真治さんに、同部設立の経緯や役割と、ご自身の仕事内容についてうかがった。

■まちづくりに関わることになった経緯

 「なんば・まち創造部」の部長に就任した和田真治さん(52)は大学卒業後、同社入社以来14年間にわたり経理部に在籍し、会計制度を国際会計基準に近づける「会計ビッグバン」に関わり、予算制度の変更、決算早期化、シェアードサービス化など、南海電鉄グループにおける経理の仕組み作りに携わった。
 
 その後、「グループ事業室」では南海サウスタワーホテル(現=スイスホテル南海大阪)の売却などグループ会社の再編、「経営企画部」では中期計画の策定、「事業戦略部」で泉北高速鉄道の買収に携わるなど、外部との折衝を経験。現在も大阪市交通局の特別参与として、民営化についてのレクチャーを行うなど、「この間に、南海に在籍しながら外部とのやりとりに関わってきたので、外のネットワークが築けた」(和田さん)。
 
 同社には実は2008年6月にも、まちづくりを担当する部署として「難波街づくり推進室」ができ、和田さんも担当者の一人となっていたが、2年後の2010年7月に同部署の業務は経営企画部に移管された。
 
 しかしながら和田さんはその後、経営企画部で経営改革に携わるなかで、なんばパークスのイルミネーション「なんば光旅」に着目。大阪府・市のイルミネーションイベント「大阪・光の饗宴2013」のなんばエリアのイルミネーション企画「まいどおおきに!大阪ミナミ光マッセ!」として地域のイルミネーション事業の取りまとめを行い、エリアのライトアップを働きかけるなど、行政と連携した取り組みに主体的に関わり続けた。「官民協業の一つの結果として、御堂筋のイルミネーションがなんば駅前まで延伸されたことは大きい。」

■「なんば・まち創造部」が担う役割

 「なんば・まち創造部」は、南海電鉄の営業推進室内に6月24日に新設されたもので、急増するインバウンド観光客への対応、なんばエリアにおけるエリアマネジメントや官民協業事業の活発化など、変化するミナミエリアをソフト面から支える部署として期待されている。
 
 現在、和田さんを筆頭に総勢8人体制。同社が指定管理者となっている道頓堀川遊歩道「とんぼりリバーウォーク」の担当とミナミのまちづくりを担う協議会「ミナミまち育てネットワーク」の担当が主な業務である。
 
 とんぼりリバーウォークは大阪市が1995年度から整備している道頓堀川の両岸にある遊歩道だが、2012年4月からは同社が管理運営を行っている。川沿いのロケーションの良さを活かし年間約200件のイベントを開催しており、市が管理していた頃の約4倍にまで増えた。
 ミナミまち育てネットワークは同社のほか地元有力企業、商店街、行政など100を超える団体からなる組織で、2008年に誕生して以来、「観光集客」と「文化振興」を柱として活動を行っている。
 
 和田さんは現在、なんば高島屋となんばマルイの間にある「なんば駅前広場」の整備に精力的に取り組んでいる。同広場は現在、タクシー停車場などに利用されているが、早期にタクシー停車場を移設し大きな広場にする計画だ。今年11月11日~13日には社会実験として、3日間にわたりタクシー停車場やタクシー乗り場を閉鎖、カフェやイベント広場として活用しその効果や影響を調べる予定だ。
 
 「とんぼりリバーウォークを運営していることが良い経験となっている。公共空間を行政が民間に委託し、民間がその空間で得た利益でその運営を賄うというスキームだ。民間も積極的に利益を上げられるように知恵を出しながら、行政は民間にただ丸投げするだけではなく、規制緩和を行い、共に運営にもかかわることが必要である。」と和田さんは力説する。既成市街地での民間主導のこうした社会実験はほかに例がない。なんば駅前広場の取り組みを通じてエリアマネジメント団体の在りようについて関係者と共に考えていきたい。

■まち作りは「ソフト」。ミナミは6次産業の街へ

 「不動産事業や鉄道事業などの目に見えるハードを『木の幹や枝葉』とすると、まちづくりといったソフト面の取り組みは目に見えないが重要な『木の根っこ』だ」という和田さん。「ソフト面でのさまざまな取り組みは土壌を耕し肥やし、大地に大きく根を張るような動きであり、このことにより樹木が大きく高く、継続的に立派な果実が実る。地元関係者と真正面からの対話が、ソフトのまちづくりに最も重要である。ミナミが面白い街だとブランディングされることで、人々はミナミに集まり、エリアや不動産価値が上がる。」
 
 なんばの街の方向性としては「1次産業を軸に6次産業化できる食の街、知の拠点」というコンセプトを掲げる。「キタがナレッジキャピタルに象徴されるサービスを中心とした第3次産業。東大阪はものづくりの第2次産業。ミナミは1次から6次までを担う6次産業の街。南海沿線の泉州野菜、漁港は最大の強みだ。その食材をミナミの料理人が調理して提供する」。

■大切なのはフォロワーシップ

 付かず離れずの距離感を維持する「地元対策」ではなく、しっかりと対話して相手の立場を理解し、第3の答えを共に作る「まちづくり」。できるだけ多くの地元関係者や見識者などが集まって、議論をしながら固めていくプロセスが重要。組織を超えて個人同士の信頼関係から始まり、さらに組織間の信頼が構築していくこと。「まちづくりはプロセスそのものだ」という。
 
 2008年からの2年間、「難波街づくり推進室」に在籍し地元との関わりがスタートし、異動に伴い、業務として、しばらくまちづくりから離れざるを得なかった和田さんだが、「なんば・まち創造部」の部長として戻ってきたことで、「商店街さん、行政さんなどの会合に行くと『お帰り』と言ってくれるのがうれしい」と笑う。外部とのやりとりが多かった経験から、「南海に在籍しつつ、恐れ多くも大阪全体をとらえた話をすることで評価いただいているのかな」と話す。
 
 仕事のスタンスとしては、「フォロワーシップ」を大切にしているという。フォロワーシップとは、一般的には、組織のリーダーを補佐する機能や能力のことであるが、転じて2番手の役割を意味する。「リーダーシップを取れる人はいるが、フォロワーシップを取れる人はあまりいないのかもしれない。何らかの取り組みが行われた時に、それを引き継ぐ2番手になった人が「こんなことやっても意味がないやん。あいつが勝手にやったことやん」というスタンスではなく、その取り組みの意味を理解して、良い面をうまく伸ばしていくことが大切だ。」という。
 
 「『とんぼりリバーウォーク』の管理運営を引き受けた際にも、せっかく引き受けたんならいままで以上に活かし方を考えようと思ったし、社会実験に向けて取りまとめを進めている『なんば駅前広場』についても同じように考えている」「行政のやることにいい意味でうまく乗っかって、民間事業者である自分らにとってもメリットがあるような取り組みにしていくことが大切だ」。

■今後の取り組みについて

 「南海が今後やらないといけないと思っているのは『泉北ニュータウンの再生』。泉ケ丘や和泉中央という泉北ラインのブランドは南大阪で一番だと思っている。南海のブランド価値を上げ、沿線価値を上げていくためには、なんばと、平成26年に買収した泉北高速のエリアを高めていくことだ」という。
 
 「ニュータウンをどう作り直していくのか、国としても大きな課題である。長期的な経営ができるうちみたいなインフラ事業者が行政と他の企業と住民と共にやらないといけない課題だ。鉄道、バス、不動産、住宅、子育て、シニアなど、南海の全てのコンテンツを集め、足りないものは他の事業者と協力して、エリアマネジメントを仕上げることが、これからの南海にとってとても大変だが、重要かつ必要なことだと思う。」

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