「ミナミ」の商圏、10年後は客数・販売額ともに10%減-予測調査で

関西学院大学商学部教授の石原武政さん

関西学院大学商学部教授の石原武政さん

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 スイスホテル南海大阪(大阪市中央区難波5)で5月26日、関西学院大学商学部教授の石原武政さんによる講演会「大阪流通業界の近未来予測調査について」が行われた。

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 同講演会は、戎橋筋商店街振興組合(中央区難波3)が主催したもので、大阪商工会議所流通活性化委員会が設置した「大阪流通業界の近未来予測調査研究会」が行った、2012年の梅田北ヤードの街開き前後に大阪市内で予定される百貨店の開店・大規模増床の影響に関する予測調査結果を報告するもの。石原教授は同研究会の座長を務めている。

 研究会では、大阪都心の商業集積地として「キタ」「ミナミ」「天王寺・あべの」の3つを挙げ、ミナミにおける年間商品販売額が1997年の8,748億円から2007年の5,989億円へと減少する一方で、売り場面積が31.7万平方メートルから36.3万平方メートルへと拡大したことから、売り場効率が悪化し、天王寺・あべのと同等になったと報告。

 今後も売り場効率の悪化は続き、1平方メートル当たりの販売額が2004年の129.3万円から2020年には89.5万円にまで落ち込み、キタ、天王寺・あべのを下回ると予測している。そのほか買い物客数は2004年の317万人から2020年の287万人へと約10%減、販売額(衣類・身の回り品)は2004年の2,277億円から2020年の2,039億円へと約10%減になると予測している。

 石原さんは3商圏について「ミナミはキタや天王寺・あべのに比べて厳しい予測が出ている。ミナミについて詳しく分析すると、難波エリアよりも心斎橋エリアのほうがやや厳しい予測」とし、その原因として難波エリアでは高島屋が増床を行う一方で、心斎橋エリアでは増床計画がないことを挙げた。

 2020年に向けての課題としては、高齢者や単身者の増大による「消費者構造の変化」と、若者が自動車などの物を持つことに興味を示さなくなっているなどの「消費傾向の変化」を挙げ、その克服のため、健康・旅行・金融・エステ・アミューズメントなどのサービス提供をより一層進めるとともに、各商業地がより個性化し、テーマを鮮明化させることなどを提案した。

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