大阪・南船場のカフェ「maho-net cafe(マホネットカフェ)」(大阪市中央区南船場4、TEL 06-4963-3344)で3月27日、大阪を中心に活動するアート団体「輪音プロジェクト」が現代アーティストの辻大地さんを招いたトークイベントを開催した。同団体4周年を記念したもの。
中央区高津にアトリエを構え、若手クリエーターの育成や、交流、発表の場を提供するなどの活動を行う同団体。主宰する田中冬一郎さんは現役の銀行マン。イベント冒頭の活動報告会で田中さんは「インキュベーション団体としての輪音のミッションは一定の成果を上げた。活動拠点や資金が調達でき、活発な活動を行えた一方で、組織内での情報共有や、外部に対するプロモーション不足などが見えてきた」と話した。
大阪市内の幼稚園・保育園を中心に「こどもアートスタジオ」という絵と工作の教室を展開する一方で、現在アーティストとしても活躍する辻さんは、「日本のアート構造について」をテーマに講演した。自身の経験から作った模式図を基に、日本の「翻訳アート」や「市井のアート」、欧米の「コンテンポラリーアート」や、欧米に対して打って出る「日本のコンテンポラリーアート」などの立ち位置や特徴について解説した。
辻さんは「日本のイノベーションは『市井のアート』、つまりマスカルチャーから生まれている。ちゃんとしたマーケットがあり、関わっている人が多く、文化を生み出している」としたうえで、「マスカルチャーで勝負する場合、線を描く技術などを磨くことのほかに、パソコン技術を習得すること、自分の専門分野についての物語が描けることが大切。そのためには毎日、制作技術を磨きつつ、業界の歴史や物語などの情報収集をする必要がある」と説いた。