お茶屋「島之内たに川」(大阪市中央区島之内2、TEL 06-6211-2219)は、大阪・ミナミで営業を続ける唯一のお茶屋として、ブログで情報発信をするなど花街文化の周知・普及に努めている。
大阪にはかつて「花街(はなまち)」と呼ばれる歓楽街があり、代表的なものは北新地、新町、堀江、南地(なんち=現在のミナミ)の4つ。1935(昭和10)年ごろの芸妓(げいこ)在籍者数は北新地500人、新町900人、堀江500人、南地2000人で、南地は日本最大の花街としてにぎわった。戦後、大阪万博のころをピークに減少し、現在は北新地に7人、南地に1人となった。同店は1969(昭和44)年に開業。4部屋の個室を備え、南地で営業を続ける唯一のお茶屋として現在も営業を続けている。
若主人の谷川恵さんは「お茶屋は、寺社の門前などで湯茶を提供したのが始まり。販売するのは女性の方がよい、飲食もできたほうがよい、唄や踊りも提供しようと発展してきた。始まりが料理屋ではないため、現在でも板前は置いていない。客の好みに応じて、懐石、松花堂弁当からたこ焼き、お好み焼き、ラーメン、カレーでも幅広く取り寄せる。利用に決まりはなく、食事会、マージャン、稽古場など、要望に応じてアレンジする」と話す。
谷川さんは花街文化を分かりやすく知ってもらうための活動を続けており、2011年5月より始めた「お茶屋サロン」は、これまで51回開催し401人が受講した。お茶屋や芸妓についてなど大阪の花街の歴史と現在までの説明を講座形式で行うほか、芸妓が日本髪に挿す「くしかんざし」の展覧、来場者との質疑応答など、約2時間かけて行う。今年4月に内容を刷新し、芸妓の「裾引き」と呼ばれる衣装の着装体験も採り入れた。参加者の7割が女性で、特に50代の参加が多いという。
「お茶屋サロン」の開催は毎月第2土曜の13時~15時。参加費は3,000円で、お茶とお菓子が付く。定員は先着20人(最少催行人員4人)。申し込みは電話とメールで受け付ける。