大阪・ミナミを拠点にインバウンド対策アドバイザーとして活躍する牧香代子さんが3月12日、ミナミエリアのインバウンド対策の取り組みをまとめた単行本「大阪のおもてなしはここから始まった」を出版した。
牧さんは大学卒業後、中国へ留学、その後、100円ショップのバイヤーとして各国を飛び回った。2005年にイベント企画やデザイン制作を行うリンクコーポレーション(大阪市中央区難波千日前)を設立。現在はインバウンド対策のコンサルティング、商店街活性化のための仕掛けづくり、イベント企画などを手掛ける。
会社設立から間もなく、日本橋筋商店街の中国語マップの制作を依頼されたことがきっかけで商店街事業に携わり、日本橋、千日前、道具屋筋エリアを中心に、イベントの企画、飲食店メニューのデザイン、翻訳などインバウンド対策に深く関わり始めた。「ウラなんば」「黒門市場」を人気観光スポットに育てた一人としてメディアにも登場、インバウンド対策の先進エリアの仕掛け人として全国からの講演依頼も多い。
3年ほど前からインバウンド対策アドバイザーとしての業務が増えてきた。現在は南海電鉄のインバウンド実態調査、駅員の接客接遇研修、なんばパークスやなんばCITYのテナントへの中国人観光客向け研修を行うほか、キリンビールマーケティングと共に全国各地の飲食店のインバウンド対策のメニューの翻訳なども手掛ける。飲食店の外国人向けメニューは、単品ではなくセットで打ち出したり、肉の種類を細かく解説したり、串カツは素材を写真で紹介するなど、独自のノウハウが光る。
牧さんは「ミナミは全国でも一番インバウンド対策が進んでいるエリアだが、全国どこの商店街でも『インバウンド』というキーワードの下に仲間を作り、取り組むことはできる」と、自身が行ってきた活動は全国どこでも行えると説く。黒門市場で買ってきた食材でたこ焼きを作る、というような地域特性を生かした外国人向け体験イベントを実施した経験を踏まえ、どこの商店街でもできるイベントとして「体験型商店街」を勧める。
「ミナミに足りないのは『屋台』と『大道芸人』。黒門市場がここまで外国人観光客に人気なのは屋台があるから。大きめの飲食店にチャンバラができる芸人を派遣するといった取り組みも計画中」と牧さん。「東京オリンピックの頃までは、お世話になった人たちに恩返しする意味でもミナミのインバウンド対策に関わりたい。5年後にはインドネシアやマレーシアなどの外国で日本式の商店街を作り、日本の若者が入れ替わりやってきて自分の力を試せる場を作りたい」とも。