映画公開前に行われるプロモーションや、主役俳優の来阪に合わせて行われるイベントの場として、道頓堀川が活用されることが増えている。
道頓堀川で行われるプロモーションでは、道頓堀川遊歩道「とんぼりリバーウォーク」や、戎橋に集まった観客に向けて、船でやってきた俳優が映画に関するコメントをし、観客からの写真撮影に応じるというパターンが多い。その模様をテレビや新聞、ネットメディアなどが報じることで、映画の認知度を高める作戦だ。
道頓堀川が選ばれることが多い理由について、関西の映画情報サイト「キネプレ」編集長の森田和幸さんは「川の上なので一般客が混ざらず、警備が楽」「正面だけでなく、川の両岸と橋の3方向から観覧できる」「ゲリラ性を出せる」「道路を通行止めにしなくて良い」「通行量が多く、SNSでの拡散を生みやすい」「大阪らしい場所でご当地性を出しやすい」「アジアからの旅行者が多く、海外への認知拡大にも役立つ」ことを挙げる。
「宣伝会社の最大のミッションは『映画館に行かない人にどう興味を持ってもらうか』。これまでも店頭や街頭での映画イベントは行われてきたが、警備や交通整理が大変だった。映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のプロモーションで、2014年6月にトム・クルーズさんが道頓堀に来た際に、ワーナーの公式ツイッターが『トム・クルーズが道頓堀をクルーズやで!』とつぶやき、バズったのも印象的」と森田さん。
道頓堀川で遊覧船を運航し、映画プロモーションではステージ船を運航する一本松海運の一本松英三さんは「3年ぐらい前から道頓堀川での映画プロモーションが増えてきた。プロモーションした映画がヒットするなど、聖地化したことが大きいと思う。船の運航にあたっては、『船上ステージのため安全を最優先する』『道頓堀川を航行している他の船舶との調整』『安全最優先の上でピンポイントの時間調整』に気を付けている」と話す。