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高島屋東別館で見学会 百貨店時代の内外装残す、幻の地下鉄連絡口も

見学ツアーの様子

見学ツアーの様子

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 高島屋東別館(大阪市浪速区日本橋3)で10月27日・29日、建物の見学ツアーが行われた。

地下2階に残る、幻の地下鉄駅への連絡口

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 高島屋東別館は、1966(昭和41)年まで松坂屋大阪店として営業していたもので、昭和の初めに建設され、これまで約90年にわたり、百貨店が最も華麗だった頃の内外装を今に伝える貴重な建築物として知られている。1928(昭和3)年の第1期開業後、増改築を繰り返し、1940(昭和15)年の第4期開業時には延べ床面積は1万2000坪で松坂屋として最大で、国内でも最大規模の百貨店だったという。

 その後、1968(昭和43)年に高島屋が事務所や友の会教室として使用を開始し、1969(昭和44)年には建物を購入した。1970(昭和45)年には高島屋が保有する美術・着物・資料などを展示する高島屋史料館も開設した。大部分を事務所など店舗以外の用途に使ってきたため、外観だけでなく、昭和初期の百貨店時代の設備が内部に多数残っている希少建築物として、2013年には大阪市より「生きた建築ミュージアム・大阪セレクション」に選定されている。

 全体にアールデコ調のデザインでまとめられた建物外観は、1階と2階の一部を「基壇」、2階~6階を「主階」、7階を「アテック階」とする3層構成となっており、堺筋沿いの1階には約67メートルものアーケードを設け、11連のアーチ状の開口部が外観の特徴となっている。建物の内部には、松坂屋時代に使われていたエスカレーターやエレベーター、階段周りの装飾、「松坂遊園」と名付けられた屋上に残るプール跡など見どころは多い。

 見学会は、建築公開イベント「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪2017」の一環として行われたもので、京都華頂大学の川島智生教授の案内で各回20人が参加した。中でも地下2階に残る、実際には建築されなかった、堺筋の地下鉄駅への連絡口となるはずだった構造物は参加者の関心を引いた。

 高島屋では現在、この建物のリノベーション工事を行っており、2019年にサービスレジデンス(キッチンなど長期滞在を可能とする設備を設けたホテル)を核テナントとした施設にコンバージョンするほか、高島屋史料館もリニューアルオープンする予定。

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