「第22回上方演芸の殿堂入り」の表彰式が6月10日、「大阪府立上方演芸資料館(愛称=ワッハ上方)」(大阪市中央区難波千日前、TEL 06-6631-0884)で行われ、レツゴー三匹、三遊亭小円・木村栄子の2組の漫才師が選ばれた。
イラストレーターの成瀬國晴さんが書いたレツゴ―三匹の似顔絵パネル
上方演芸の発展と振興に特に大きな役割を果たした演芸人をたたえるもので、落語、漫才、講談、浪曲などの大衆芸能の中から選ばれる。1996(平成8)年にスタートし、過去には横山やすし・きよし(第9回)、3代目・桂米朝(第14回)などが殿堂入り。今年で22回目を迎える。
レツゴー三匹は、レツゴー正児さん、レツゴーじゅんさん、レツゴー長作さんの漫才トリオで、1970年代に数々の賞を受賞。「じゅんで~す」「長作で~す」に続き、正児さんが「三波春夫でございます」というつかみで人気を博した。三遊亭小円・木村栄子は1960年代に活躍。三遊亭小円さんは1917(大正6)年に落語家としてデビューしたが、1937(昭和12)年に漫才に転向し妻の木村栄子さんとコンビを組み、互いに毒づき合いながら笑いを取る夫婦漫才で人気を得た。
推薦理由について、日本笑い学会顧問で関西大学名誉教授の井上宏さんは「レツゴー三匹は、それまでのトリオは楽器を用いるのが主流であったけれど、しゃべくりに大きなアクションと歌を加えた独自のスタイルを確立した。三遊亭小円・木村栄子は絶妙な掛け合いの夫婦漫才で、小円の死去まで30年間夫婦漫才を続けた。現実でも仲が良かった2人の色が舞台でも生きていた」と話した。
表彰式に出席したレツゴ―長作さんの息子永原匠人さんは「生まれる前のことは知らなかったので芸人の息子という意識はなかったけれど、改めてレツゴ―長作の息子だということを実感した」と語った。
同館では今回殿堂入りした2組の映像資料なども展示する。営業時間は10時~18時。月曜(祝日の場合は翌平日)。入館無料。