喫茶店「アラビヤコーヒー」(大阪市中央区難波1)が今年2月、創業70周年を迎えた。
1951(昭和26)年、先代・高坂光明さんが創業した同店。軍人として終戦を迎えた光明さんが「国のためではなく、今度は自分のしたいことをしよう」とコーヒー店を立ち上げた。2代目店主で息子の明郎さんは「濃いコーヒーが全盛の中、マイルドな味わいのコーヒーを提供していたことから『味が薄い』と客から文句を言われ、父と客がけんかすることもあった」と振り返る。
光明さんの趣味が「スキー」だったことから、山小屋をイメージした内観が特徴で、木彫りのメニュー表なども光明さんが自身で作っていたという。2階には古いスキー板やペナントなどスキーグッズに加え、創業当時使っていた手回し焙煎(ばいせん)機なども置かれている。日本初の女子プロ野球選手だった妻の峰子さんの写真も店内には数多く飾られている。
1999(平成11)年に明郎さんが店を継ぎ、現在は夫婦で店頭に立って接客する。明郎さんは「勝手に海外の雑誌で紹介されたりしていて、コロナ前はインバウンドも多かった」としながらも、「バブル崩壊やリーマンショックでもここまで客足が落ち込むことはなかった。しばらくはこの状況が続くだろうし、新しくできることを模索している」と現況を話す。「それでも70周年を迎えられたのは、皆さんのおかげ。憩いの場としてこれからも頑張ることは変わらない」と前を向く。
営業時間は10時~22時。新型コロナウイルス感染拡大の影響で当面の間は12時~17時。