上方演芸界での功績をたたえる「第24回上方演芸の殿堂入り」名人に選ばれたマジシャンのゼンジー北京さんの表彰式が11月9日、大阪府公館(大阪市中央区大手前2)で行われた。
ゼンジー北京さんの受賞は10月26日、「大阪府立上方演芸資料館(愛称=ワッハ上方)」(大阪市中央区難波千日前、TEL 06-6631-0884)が発表。ゼンジー北京さんは1958(昭和35)年、大阪府春日丘高校を卒業してゼンジー中村さんに弟子入りしマジシャンとしてデビュー。中国風の衣裳を着て、「~アルヨ」という独特の話術と手品でお茶の間を魅了した。1984(昭和59)年には第13回上方お笑い大賞を、2000(平成12)年には大阪市市民表彰文化功労部門を、それぞれ受賞している。
表彰式で、成瀬國晴殿堂入り部会長代理は「奇術に話術を組み合わせ、お客さまの懐に飛び込んで一緒に楽しむスタイルを確立したのはゼンジー北京さん」と受賞理由を説明。ゼンジー北京さんは「20歳前後でこの世界に飛び込んで約60年。当時は『黙って、鮮やかな手品を披露する』マジシャンが主流だった。他と差をつけるために見付けたのが、おしゃべりを組み合わせた方法だった」とし、「口から出まかせの部分もあったが、お客さんとの掛け合いがすごく楽しかった」と振り返った。「まさか自分が殿堂入りするとは夢にも思わなかったこと。とにかく光栄。これに尽きる」とうれしさをにじませた。
「上方演芸の保存及び振興を図るとともに府民に上方演芸に親しむ場を提供し、大阪文化の発展に資する」という目的で1996(平成8)年11月にオープンした大阪府立上方演芸資料館。府民に親しまれ後進の目標となる演芸人を「上方演芸の殿堂入り名人」として表彰し、「花紀京」「レツゴー三匹」「夢路いとし・喜味こいし」さんら59組95人が名を連ねる。