南海電鉄は4月30日、2009年3月期の決算を発表し、売上高は1,833億8,900万円、経常利益は105億9,300万円だったと発表した。
同社は新3カ年計画「堅進126計画」を策定し、なんばエリアのさらなる価値向上を目指している。同計画初年度の2008年度は、世界的な金融危機から国内の景気は後退局面となり、個人消費や設備投資が伸び悩んだ。本業の鉄道事業では定期旅客は横ばいで推移したが、航空旅客の減少から定期外旅客が減少、乗車人員は前期とほぼ同じの2億3,200万人だった。利用促進策として、京急と共同で企画乗車券の発売やキャンペーンを実施、羽田空港や関西国際空港を結ぶ両社線の利用者数増を狙った。京阪電鉄とはフリーペーパーで連携し、南海電鉄が発行する沿線情報誌「ピーナッツ」を京阪、阪神、神鉄の主要駅に設置するなど、沿線外からの旅客誘致に力を入れた。
ミナミの玄関口となる難波駅では、定期券や特急券の販売など駅機能を集約した「難波駅サービスセンター」を新設、難波駅の設備面での強化を図った。バス事業や海運業なども合わせた運輸部門の売上高は861億3,300万円(前期比0.1%増)となったが、燃料費高騰の影響などで営業利益は110億5,300万円(21.1%減)となった。
流通部門では、なんばCITYのリニューアル工事を進めるとともに、なんばパークスとなんばこめじるしの1周年記念セールを行った。なんばCITYのリニューアルは、南海ターミナルビル再生計画の一環として、ロケット広場のロケットを撤去して高さ30メートルの室内吹き抜け大空間を設けた。同計画には、南海難波駅が入る南海ビル外壁や高島屋大阪店の改修などが含まれており、大阪の玄関口として駅全体の活性化を図る。売上高は248億2,600万円(前期比2.2%減)、営業利益は15億400万円(37.1%減)。特に、2007年に全館グランドオープンしたなんばパークスは開業初年度の反動が表れた。
同社は、景気の後退局面が長期化すれば、厳しい経営環境が続くと予想する一方、2010年3月期はみさき公園のリニューアルなどでの増収、商業施設などの工事竣工増加による増収を予定し、営業利益を前期比6.5%増の1,953億円と見込む。年金運用環境の悪化に伴い、退職金費用が増加することから、営業利益は8.1%減の181億円、純利益は19.8%減の85億円を予想する。