南海電鉄(大阪市中央区難波5)が運営する「NATTS NET」は、同社が発行するフリーペーパー「NATTS」と連動したサイト。南海沿線情報を中心とした「特集」のほか、「駅前情報」、なんば駅を中心とした街歩きガイド「なんばけーしょん」、ぐるなびと連動した「レストランガイド」がメーンコンテンツとなる。
同社では2000年にネットショップを立ち上げ、「紀州梅」「加太しらす」など南海沿線の物産を販売していたが、同時期に始めたフリーペーパーの広告収入が順調に推移したためネットショップを閉鎖し、現在までフリーペーパーと連動したコンテンツを中心に、サイトでの情報発信を行っている。「ぐるなびレストランガイド」は2004年に追加したサイト独自のコンテンツ。
同サイトの目的について営業推進室NATTS/P+natts担当の築山浩二さんは「沿線情報を掲載し、旅客を誘致することが目的」と話す。「毎月フリーペーパーで告知している読者プレゼントの応募の7~8割がサイトからで、特にモバイルの応募が多い。今後はサイトならではのコンテンツも充実していきたい。収益性を高めるために有料コンテンツも模索していきたい」とも。サイトからのプレゼント応募には会員登録が必要になっており、登録した人には月2回のメールマガジンが届く。
「NATTS NET」の運営は、NATTS担当者5人のうち1人が担当しており、制作会社への制作指示のほか、メールマガジンの配信も行っている。
同社では「NATTS NET」のほか「南海電鉄」としてのサイトもあり、企業情報の発信のほか、「ラピート」「サザン」などの特急券の購入ができる。「関西の私鉄で、モバイルサイトで特急券が予約だけでなく購入までできるのは珍しい。座席指定もできる」と難波街づくり推進室の赤迫ゆりさん。そのほか高野山のサイト、住吉大社のサイトなどがあり、「埋もれているサイトも活性化していきたい」と築山さんは話す。
南海なんば駅に直結する都市型ラグジュアリーホテル「スイスホテル南海大阪」(大阪市中央区難波5)。カナダのトロントを拠点とする国際ホテルチェーン、フェアモント ラッフルズ ホテルズ インターナショナルが展開する3ブランドの1つである「スイスホテル」ブランドの日本での拠点となる同ホテルは、ミナミの中心地に位置し、同エリア随一の高級ホテルとして知られている。
サイトの役割についてマーケティングマネジャーの佐藤佳子さんは「宿泊やレストランの予約」「ホテル内の施設紹介やアクセスなどの基本情報の発信」「姉妹ホテルの紹介などのプロモーション」「宿泊、レストラン、婚礼、宴会などについての質問の受け付け窓口」の4つと話す。
サイトはメーンサイトのほか、婚礼向けサイト「スイスホテルロマンス」があるほか、「サードパーティ」と称する外部の宿泊予約サイト(じゃらん、一休、楽天トラベルなど)を一括管理システムにより効率的に管理している。同ホテルの総支配人のクリスチャン・シャウフェルヴュルさんは「45歳以上の方は旅行代理店の窓口を利用される場合が多いが、40歳以下の人はネットを好む」と話す。ネット経由の宿泊予約は増えてきており、約40%がネット経由という。
そのほか「じゃらん」内でブログによる情報発信を行うほか、フェイスブックによるホテル情報の発信、ツイッターによるタイムリーな情報発信なども行うなど、ソーシャルネットワークを活用する。これらの運用は佐藤さんが1人で行っており「社内ではソーシャルメディアのチャンピオンと呼ばれている」と笑う。「サイトは一方的な情報発信に強く、写真をたくさん掲載して見てもらうことができる。じゃらんのブログは新商品の紹介やアメニティ情報など、少しくだけた感じで情報発信ができる。ツイッターは今行っているフェアの情報などをタイムリーに発信するほか、サイトへの被リンクを増やすことでSEO対策にもなると考えている」と佐藤さん。
スイスホテル南海大阪のツイッター
スイスホテル南海大阪のフェイスブック
さらに同ホテルでは、自社が直接的に運営するサイトのほか、外部のクチコミサイトも積極的にモニタリングしている。レストランのクチコミサイト「食べログ」、ホテルのクチコミサイト「トリップアドバイザー」や、ウエディング関連のクチコミサイトを定期的に閲覧し、同ホテルに関するクチコミ内容を収集している。
そのほか、フロントやバックオフィス部門でもインターネットを積極的に活用しており、なくてはならないものになっているという。海外のグループホテルとの顧客情報の共有化もインターネットを介して行っており、他のエリアのスイスホテルに宿泊したゲストがリクエストした枕の数やウイスキーの銘柄などの情報などを調べることができるほか、レストランでの食材のオーダーもネットを活用している。
戎橋筋商店街振興組合(大阪市中央区難波3)は、なんば駅から戎橋までの約370メートル、約100店舗の商店街を紹介するサイトを運営する。商店街内の各店舗の情報のほか、商店街を中心に近隣のイベント情報などを随時、サイトやブログ、ツイッターを活用し発信している。
活性化事業統括部長の山本英夫さんは「商店街事務局は共助組織にあたり、もうけよりも商業振興、事業振興が目的となる。各組合員の事業を宣伝する上で、共同で使える道具を持つ、というイメージでサイトをとらえている」と話す。サイトで発信する情報については、「同商店街が広域商業地のミナミの中心部に位置していることから、各店の情報だけでなく、街を楽しんでもらうための情報も発信している」と話す。
同商店街ではサイト上で毎月1回「特集」を掲載し、その時々の街のイベントなどの見どころを発信するほか、「なんばファッショントレンド」で若者に向けたファッション情報を発信する。そのほか「トピックス」コーナーで街を楽しむための話題を随時提供しており、「ミナミの街の楽しむための『着地型』の情報を蓄積していきたい」と山本さん。
ミナミの街の魅力を発信する上で山本さんが留意しているのは、タウン誌や旅行誌などに載っている「紋切り型」の情報にならないことという。店舗情報については店舗から情報が届くのを待つだけでなく、この4月からは事務局の担当者が週5軒ほどの店を回り最新情報を収集する活動も行っている。
サイト上ではプレゼントキャンペーンを行ったり、メールマガジンを発信したりし、読者とのコミュニケーションを促進している。プレゼントキャンペーンではコメント欄に記入された文章も全て目を通しており、街の楽しみ方のヒントを教えてもらうこともあるという。
サイトのほかブログ、ツイッターも運用しており、それぞれの特徴を生かし、情報発信手段として使い分けている。「トピックスは公式的な発信で、ブログは裏話も入れながら分かりやすく書いている。検索エンジン経由でブログが読まれることもあり、ブログはサイトへの集客ツールにもなっている」(山本さん)。ツイッターは「すごいスピードで情報が伝達できる。つぶやく中身が重要」(同)といい、商店街内の数店舗もツイッターを行っているという。