スイスホテル南海大阪(大阪市中央区難波5)で5月24日、大阪府立大学の橋爪紳也特別教授による講演会「なんばと大阪都市魅力戦略」が行われ、ミナミの商店街関係者らが参加した。
講演会は、戎橋筋商店街振興組合(難波3)の2012年度総会の関連イベントとして行われたもので、同商店街関係者のほか、近隣の商店街関係者らが参加した。橋爪教授は、大都市制度の在り方など府市共通の重要事項についての方針を検討する「大阪府市統合本部」の特別顧問として、大阪都市魅力戦略会議の取りまとめを担当している。
講演会の冒頭、橋爪教授は、ここ3年~5年の大阪の都市魅力アップに向けた取り組みの成果として「南天満公園のライトアップ」「八軒家浜のラバーダック」「御堂筋のライトアップ」などを挙げ、各施策の狙いを説明、特に重点エリアとして取り組んだ中之島周辺が大きく変わったことを説明した。
アジアの都市間競争については、中国や韓国が国策として、北京・上海・ソウルがデザインで、釜山が映画で都市の魅力を高めようと取り組んでいることを説明、「この分野を伸ばすという方針がとても明確」と指摘した。またシンガポールでは、2002年に「観光収入を10倍に増やす」という方針を決定後、2005年には条件付きでカジノを容認、アジアからの観光客を引きつけるため、カジノを核にした複合商業施設を戦略的に開発し、2005年に890万人だった観光客を2010年に1200~1300万人に引き上げることに成功した事例を説明、「客数ではなく客単価を上げる戦略」と説明した。
最後に、大阪のグランドデザインについては、「今までこうだったという延長線上で物事を考えるのではなく、まったく新しく何かを想像する『グレート・リセット』で考えてほしい」とし、大阪城や中之島などの具体的な活用アイデアを披露、ミナミについては難波駅前の広場化、御堂筋の側道を歩道やオープンカフェにする案などを説明した。橋爪教授が勤める大阪府立大学のサテライトキャンパスが難波の「Zepp Namba」(浪速区敷津東2)東側にできることについては、同大の「観光産業戦略研究所」が今夏から修士課程・博士課程の社会人学生を募集することを明らかにした。