南船場のギャラリー「ナダール/OSAKA」(大阪市中央区南船場3、TEL 06-6251-8108)で現在、写真展「世界の終わり~映像の写真~」が行われている。
同展は、ナダールが開催する「モノクロプリント体験教室」を2007年に修了した鶴泰宏さんによる初の個展。印刷会社にデザイナーとして勤務しながら制作活動を続けているという。鶴さんについて、同教室の講師を務めるスタッフの橋本大和さんは「当時から『自分の世界観』というものをきちんと持っていた」と振り返る。
展示する54枚の写真は、ビデオカメラで撮った大阪近郊の駅や道路、ビルなど街の雑踏をテレビに映し、その映像をモノクロネガフィルムで撮影したもの。村上春樹さんの小説「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」から発想し、「『人の脳内のイメージ』を写真に映し出そう」と試みた同展。対象を直接撮影するのではなく、テレビの画面を通すことによって「現実が現実でないような、不思議な感覚を呼び起こす効果を狙った。目の前の現実しか写し取ることのできないカメラで、写真には写らない『何か』を表現したかった」という。
同展では、写真の世界観に「どっぷり」浸れるよう、音楽や空間も特別に演出している。橋本さんは「自分の世界観がきちんと伝わるよう、工夫してうまく演出されている。見る側が考えさせられ、何か家に持ち帰るような展示内容。自分なりの『何か』を感じに見に来てもらえたら」と話す。
開館時間は11時~19時。入場無料。今月23日まで。