心斎橋のギャラリー「FUKUGAN GALLERY」(大阪市中央区西心斎橋1、TEL 06-6253-3266)で現在、現代美術作家・三宅砂織さんの個展「Image castings 2」が開催されている。
「ゼリーのような」独特の質感が特徴の三宅さんの作品10点を展示
1975(昭和50)年岐阜県生まれの三宅さんは京都市立芸術大学卒業後、イギリスのRoyal College of Artへ交換留学し、2000年に京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻を終了。絵画や版画を学び、在学中から画廊での個展や美術館でのグループ展に参加。2008年以降は韓国やスイスなど海外でも作品を発表している。今年3月に行われた若手現代作家の登竜門とされる「VOCA展2010」で大賞の「VOCA賞」を受賞した。
カメラを用いず、印画紙の上に直接ものを置いて感光させる「フォトグラム」という技法で作品作りを行う三宅さん。「絵を描いた数枚の透明フィルムを、部分的に揺すったり浮かせたりしながら」印画紙に焼き付けることで、透けたりピントのボケた「おぼろげな」部分を、「スパンコールやビーズなどの立体物も同時に焼き付けることで」独特の「キラキラ」とした輝きを画面上に生み出している。
「学生時代に学んだ絵画と版画、もともと興味を持っていた写真。自分の思いを形にするのに一番適した表現方法を模索するうち、この3つの方法、それぞれの問題を補い合える今の技法に行き着いた」と話す三宅さん。
濃淡や透け感、ピンボケなどさまざまな明暗のグラデーションによって生まれた、「ゼリーやようかんのような」独特の質感が特徴の三宅さんの作品。作品の中に登場する少女たちは、「観客を『イメージ』の中へいざなってくれる存在」として描いているという。同展では、「形のない光の『Image=イメージ』を、ゼリーを固めるように『casting=鋳造』した」という新作10作品を展示する。
「街でふとした面白いものに出会ったときに、作品のアイデアが浮かぶことが多い」という三宅さん。作品づくりでも、「自分がコントロールできない部分、出会いに近い『偶然』を大切にしていきたい」と話す。
開館時間は13時~20時。観覧無料。今月7日まで。