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「2030年のミナミ」を考えるシンポジウムに300人 インバウンド軸に議論

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

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 大阪ミナミの未来について考えるシンポジウム「未来のミナミ まちづくりビジョン2030」が12月8日、なんばスカイオ(大阪市中央区難波5)のコンベンションホールで開かれ、約300人が参加した。

「ミナミまち育てネットワーク」の10年間の活動例

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 地元企業や商店街など、約120の会員で組織するまちづくり団体「ミナミまち育てネットワーク」が設立10周年を記念して行った。冒頭あいさつに立った山中諄会長(南海電鉄取締役相談役)は、「ミナミまち育てネットワークは、街の美化と観光誘致が目的」と説明。インバウンドでにぎわう現在の状況については、「10年前には想像できなかった」と振り返った。

 テレビ番組「進ぬ!電波少年」で「ケイコ先生」としてデビューし、現在はミナミを中心に浪曲師として活躍する春野恵子さんが「大阪・関西の発展にミナミが果たす役割」と題した特別講演を行った。自身の活動や、2015年にミラノ万博を見てきたことなどを踏まえ、現在のミナミには「ナイトカルチャーの創生」が必要と指摘。「日本のエンターテインメントは18時スタートなど時間が早い。海外は20時以降に始まることが多く、この時間帯に楽しめるものが必要」と話した。

 続いて行われたパネルディスカッションは、「世界の玄関口 大阪・ミナミの将来展望」をテーマに、連続テレビ小説「てっぱん」などを手掛けた脚本家・今井雅子さん、編集者の江弘毅さん、大阪府立大学教授の橋爪紳也さん、高島屋常務取締役大阪店長の粟野光章さんが登場。産経新聞論説委員の山上直子さんがコーディネーターとなり、1時間半にわたり議論した。

 インバウンドでにぎわうミナミについて、江さんは「大阪に来る中国人や韓国人は、黒門市場や道頓堀によく来ている。上海ではここ20~30年で再開発が進み、下町がどんどんショッピングモールなどに変わってしまった。50代ぐらいの人には黒門市場は懐かしい雰囲気がある」と説明。ミナミの楽しさについては「歩いて楽しく、街がのっぺりフラットじゃないこと。コンパクトで回遊性が高く買い回りがしやすいこと」などを指摘した。

 粟野さんは「高島屋大阪店の売上の20%がインバウンド。5年前には海外からの客はほとんどいなかったのに、今では1日1000~1500件の免税手続きがある。品質の高い日本製の化粧品と、間違いなく本物を売っている宝石や時計が売れている」「航空券が高い春節の時期には、ファミリーや富裕層が多く来店し、安い時期には学生や若い人が1~2泊の弾丸旅行に来ることが多い」などと話した。

 橋爪さんはインバウンドの伸びについて「2016年に2404万人だった訪日外国人旅行者は、2020年には4000万人、2030年には6000万人を見込んでいる。これは、世界中で豊かな国が増え、海外旅行に出掛ける人が増えているからで、特に東南アジアでは2010年から2030年にかけて2倍に伸びる」と説明。一方で京都などでは旅行客が増えすぎる「オーバーツーリズム」が問題になっていることも指摘した。

 橋爪さんは御堂筋の将来像について、「歩いて楽しい街」にするべきと主張し、ビルの1階~2階部分におしゃれな店を集める「御堂筋フェスティバルモール」構想を披露。車中心から人中心の街に転換する象徴として、なんば駅前のタクシープールや喫煙所になっている場所を、2025年の大阪万博までに広場化する「なんばひろば」計画を説明した。

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