旧精華小学校で使われていたピアノが3月27日、なんばCITY(大阪市中央区難波5)本館地下2階に設置され、「ストリートピアノ」として生まれ変わった。
旧精華小は1873(明治6)年に開校。1930(昭和5)年に完成した4階建ての新校舎はエレベーターや暖房設備などを備え、当時としては最先端だった。喜劇俳優・藤山寛美さんの出身校として知られたが、都心の過疎化によって児童が減り、1995(平成7)年に南小学校と統合。約140年の歴史に幕を閉じ、跡地には2019年に複合商業施設がオープンした。現在、同館1階には「精華小学校メモリアルルーム」と石碑が建てられ、学校の歴史を伝えている。
ピアノは同校の解体工事中に見つかったもの。「自分の学校がなくなるのは仕方ないけれど、思い出は残したい」と、同校の卒業生で難波3丁目東振興町会の徐正莱(じょまさらい)さんが引き取った。思いに賛同した地元企業や商店街組合などでつくる「ミナミまち育てネットワーク」が主体となってピアノの活用法を探り、なんばCITYにストリートピアノとして設置することに決めた。
27日には関係者らが参加し寄託式が行われた。徐さんは「精華小学校は26年前に閉校し、9台残ったピアノのうち修復できた1台を今日ここに持ってきた。ストリートピアノとして復活することになり非常に喜んでいる」とあいさつした。ストリートピアノを管理することになった南海電鉄執行役員まちづくり創造室室長の和田真治さんは「ピアノを通じて人と人とがつながり、ミナミの活性化にもつながればと思っている。そしてミナミのど真ん中に精華小学校があったということに思いをはせてほしい」と話した。その後、タレントの斉藤雪乃さんらがピアノ演奏を披露した。
演奏可能時間は11時~19時。