阪神なんば線(西九条-大阪難波間、3.8キロメートル)が3月20日、開業した。
同線は阪神電鉄が1967(昭和42)年に建設を開始していた新線で、工事中断期間を挟んで約40年かけて開業にこぎ着けた。近鉄と相互直通運転を行い、三宮-近鉄奈良間を乗り換えなしで結ぶ「快速急行」などを運行する。
開業を記念し、近鉄は大阪難波駅と近鉄奈良駅で出発式を行った。大阪難波駅では5時3分発の尼崎行き一番列車に合わせて、野口満彦副社長ら関係者が出席して式典を行った。式典に先立って、同駅の森本幸次駅長がホームの駅名標の隣駅「桜川」を隠していたステッカーをはがした。式典では、野口副社長が一番列車の運転士に記念品を贈呈、森本駅長の発車合図で列車はゆっくりと動き出した。
その後、阪神電鉄の坂井信也社長が乗車する尼崎からの一番列車を拍手で迎えた。列車から降りた坂井社長を野口副社長が出迎え、固い握手を交わした。野口副社長は「阪神電鉄沿線や山陽電鉄沿線の方に来ていただきたい。伊勢や名古屋にも特急列車を運行しているので、ぜひ足を運んでいただきたい」とPR。神戸方面からの直通特急については「まだ相談段階」(同)としたうえで「相互直通運転が始まったので、確実にある話。2013年の伊勢神宮式年遷宮がベストのタイミング。時間はかかるが積極的に取り組んでいきたい」(同)と今後の方向性を語った。
同駅では一番列車に乗ろうと鉄道ファンなど100人が朝早くから駅入口に並んだ。先頭で待っていた男性は「切符を買いに東京から来た」と2日前の夜から並んでいた。一番列車となる相互直通運転対応の近鉄9820系電車が駅に到着すると待っていた人たちが次々と列車に乗り込み、一番列車の感触を楽しんだ。
阪神電鉄も三宮駅などで、それぞれ式典を行い、開業を祝った。