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林央子さんトークに100人-アメ村の書店で自らの編集人生語る

アメリカ村でトークショーを行った「拡張するファッション」の著者・林央子さん(写真はトーク終了後に行なわれたサイン会の様子)

アメリカ村でトークショーを行った「拡張するファッション」の著者・林央子さん(写真はトーク終了後に行なわれたサイン会の様子)

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 アメリカ村の書店「スタンダードブックストア」(大阪市中央区西心斎橋2、TEL 06-6484-2239)地下1階のカフェで7月17日、「拡張するファッション」(ブルース・インターアクションズ)の著者・林央子(はやし・なかこ)さんのトークショーが行われ、約100人が会場に詰めかけた。

写真や映像を用いながら約2時間にわたってトークを繰り広げた

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 今年5月28日に刊行された「拡張するファッション」を読んで、「これは閉塞(へいそく)感を打破するヒントが隠されている本」と感じた同店代表の中川和彦さん。今回のトークショーは、「ぜひ大阪にも林さんのメッセージを届けてほしい」と中川さんが呼び掛け実現したもの。「自分なりの『好き』を見つけて言葉にすること、人に伝えること、好きなもの同士のルールを発見すること」をメーンテーマに約2時間、林さんが編集者として歩んできたこれまでの道のりから、「自分なりの『好きのルール』を再確認できた」共同プロジェクト、「『好き』を好きなだけ好きな形でアウトプットした」個人プロジェクト、「『好き』を再発見した」パリコレでの体験についてトークを繰り広げた。

 大きな拍手の中、「こうして大阪に呼んでいただけて光栄です」と笑顔で登場した林さんは「社会人や学生などいろんな立場の方がいらっしゃると思うが、私がどうやって自分なりの『好き』を見つけて伝えてきたかを言葉にすることで、何かしら今を変えるヒントになれば」とあいさつ。「ファッションは自分にとってすごく大事なこと。でも、そこの世界だけに限定して発信したいわけじゃなく、いろいろな方面の方に興味を持ってほしい。『拡張するファッション』で取り上げたクリエーターたちが実現しようとしていることは、ファッションに限らず、どこの世界にいる方にとっても、今日を生きる上でのヒントになってくれると思う」と語った。

 1988(昭和63)年、資生堂が発行する月刊カルチャー誌「花椿」で編集者としての一歩を踏み出した林さん。仕事を始めて10年以上がたったとき、いろいろな情報を集めることに熱心になる余り、入れるものがどんどん増えていってしまい容量オーバー状態になってしまった。そのときを境に「意識的にインプットする情報を減らすこと」を始め、信頼できる人からの口コミや、自分が実際に会って聞いた話だけに意識を向けるようになったという。こうした情報の「トリミング」は、一見、入ってくる情報の量を減らしてしまいそうにも見えるが、「たくさんある情報の中からなぜそれが気になったのか、自分の『好き』に共通するキーワードを見つけると、そこからどんどん自分の好きな世界を広げていくことができる」と林さん。「リアルにその場でつかんだ言葉しか、責任を持って読者の方に届けられないんじゃないかという思いがある」とも。

 林さんは、ファッションやアート、ライフスタイルなど、幅広い領域で執筆活動を行うほか、雑誌「here and there」(Nieves)も刊行しているフリーランスのライター・編集者。「拡張するファッション」は、林さんがこれまでに手掛けた記事やインタビューなどをまとめたもの。「取材を続けてきた人たちの痕跡を次の世代に伝えるため」同著では特に1995年前後にスポットを当て、新しいアイデアを持ったクリエーターたちが繰り広げたさまざまな実験的な動きを取り上げる。

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