北堀江のカフェバー「Cafe ABSINTHE（カフェ・アブサン）」（大阪市西区北堀江1、TEL 06-6534-6635）で4月17日、アートと音楽、パフォーマンスの融合イベント「一夜限りのアートと音楽のフェスティバル」が行われた。

ドラッグクイーン「Kirin Elizabeth（キリン・エリザベス）」さんによるパフォーマンス

　19時から翌朝まで、1階のカフェバーと地下の2部屋で行われた同イベントでは、イギリス人アーティストのデビット・シリングローさんを主演に迎えてライブペインティングを行ったほか、さまざまなジャンルのアーティスト約30人による展示やパフォーマンス、6組のバンドと8人のDJによるライブが行われ、約400人が参加した。

　イベントを主催するのは、ギャラリー「HEAD SPACE（ヘッドスペース）」（奈良市）と、イベント企画プロダクションの「CODA（コーダ）」。「アーティストが自由に活動できる場を提供しよう」と昨年の11月にオープンしたヘッドスペースには、国内外のアーティストが無料で作品を展示できるスペースを設けるほか、海外アーティストの日本での活動を支援する「レジデンス制度」を導入している。

　奈良を飛び出し「出張」ギャラリーを行うのは今回が初めて。「アーティスト同士の交流とコラボレーション」を目的に、これまで数多くのアーティストの作品展示を行ってきた同カフェの「アーティストの輪」を活用することで、約70人のアーティストが集う大規模なイベント開催が実現した。

　4年前から日本で活動する、イギリス人アーティストで同ギャラリーの監督を務めるジェイミー・グッドイナフさんは、さまざまな形で援助が受けられる母国でのアーティスト活動と比較し、「展示をするためにギャラリーにお金を払い、売り上げの一部しかアーティストに還元されない」こともあるという日本でのアーティストを取り巻く状況に、当初は驚きを隠せなかったという。イベントでは、収益はすべてアーティストとミュージシャンに平等に分配する。

　「今はアーティストを援助するボランティアのような形態で、ビジネスモデルとしてはこれから。すぐに現状が変わることはなくても、活動を続けることで『こんなギャラリーの運営方法もあるんだ』と気付いてくれる人が1人でも増え、ゆくゆくは日本のアート界がアーティストを支援する方向に変わっていってくれれば」と話すグッドイナフさん。同時に「今回のようなイベントを通してアーティスト同士がコラボする機会を提供し、アート界全体を盛り上げていく活動も行っていきたい」とも。